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2007年6月29日 (金)

何がなんだか・・・区別つきますか?

昨日はQFT TB-2Gの講義に行っていました。難しい講義ですが、20名ほど集まって頂きました。

本日は肺炎患者です。P1の痰が採取され、Geckler4でした。スメア見るとこんな感じです。コメントにブランハメラあり(貪食あり)とコメント付けて返しましたが、次の日の培養では肺炎桿菌3+、常在菌1+のみ検出され、肝心のブランハメラは検出できませんでした。SPCN(塗抹陽性、培養陰性)かと思いコメント付けました。塗抹の強みかな?と思いました。でもレトロに見るのでわかりますが、このスメアで肺炎桿菌とブランハメラの違い見えますか?師範手前の私は最初に分かりました。挑戦して下さい。

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2007年6月27日 (水)

溶連菌の分類(Lancefieldの分類)

半人前さまより、溶連菌の分類の件でコメント頂きましたので少し解説します。

細菌検査で使用する血液寒天培地上でβ溶血を起こす菌の総称を溶連菌と言いますが、連鎖球菌の分類には菌名同定もそうですが、一度細胞壁の糖鎖の特異性で分けるLancefield分類というものをします。

Lancefieldの分類はA~Vまであり(IとJは欠番)、ヒトへの病原性で良く分離されるのにはA~G群まであります。詳細は

A群=S. pyogenes,S. canisが含まれますが殆どがS. pyogenesなので代用されている名称です。
B群=S. agalactiaeで妊婦や新生児の感染症に起因します
C群=S. dysgalactiae,S. milleri group
G群=S. dysgalactiaeやS. anginosusなどのS. milleri groupもあります。

元々Lancefield分類は細胞壁の糖鎖に対する抗原性を見たもので現在はラテックス法で分類しています。Manual of clinical microbiologyなど参照しますとまず、24時間後の集落の大きさが1mmで分別しているようです。通常病原性が強いのは1mm以上の集落が多く、同定でも見つけやすくなっています。

でも、今はLancefild分類と同定が合わない菌種も多く、いつも好意にして頂いています勝川先生らの論文「Disp.pdf」をダウンロード でも記載があるくらいです。

生方先生らも話題に取り上げており、今後少し進展があると思います。

当院でも色々ありまして、溶血しないS. pyogenes、A群抗原をもつS. dysgalactiae(通常はG群に多い)なども検出しています。細菌検査室では集落の性状も大切ですが、集落は菌の顔なので表情をしっかりと見極めて同定することが必要かと思います。集落性状などあくまで表現型なので。

当院で検出されたA群抗原をもつS. dysgalactiae(通常はG群に多い)の写真を掲載します。M蛋白様物質もstg845となっていますので、細胞壁の糖鎖が変異した株と推定されます。同時にS. pyogenesも掲載しますが、殆ど区別がつきません・・・・。

Photo_73 A群(S. pyogenes)

Photo_74 G群(S. dysgalactiae subsp. equilimilis)

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2007年6月26日 (火)

今週伺いますので宜しくお願いします

今週は全国徳州会病院の検査部会勉強会に呼ばれてお話してきます。徳州会の先生方宜しくお願いします。今回のお題目は『グラム染色のスキルアップ』と良いネーミングをもらっていますので少し気が楽です。いつも『限界は・・・』、『これからの・・・』など少し硬いイメージ抱かせていますので申し訳けありません。

当日は皆さんで自施設のスライドを持ち寄り、ディスカッションも出来る場を用意しようかと思います。ざっくばらんにお話できることが、非常に良いことだと思いますので、『こんな質問して大丈夫かな?』なんて思わずに聞いて頂ければ結構です。その時の進行具合で針路変更も可能にします。

レクチャーは少し当てて答えてもらうとうスタンスで進行します。緊張しないで下さいね。臨床医と会話する方がもっと緊張しますよね?(私個人は女医が少し苦手です(笑))

写真は先日、感染性心内膜炎の患者から検出されたEnterococcus faecalisの血液培地上の写真です。β溶血していてまるで、Streptococcus agalactiae(Group B streptococcus)の様です。感染性心内膜炎の患者からはこのようなβ-haemolysinを持つものが多く検出されるようです。ちなみにβ-ラクタマーゼ陰性で、GM>512μg/mlでした。

1_5 血液培地のE. faecalis

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2007年6月25日 (月)

血液培養陽性事例の探求

30歳女性。発熱のためスケジュール通りに血液培養を2セット採取しました。翌日陽性になった訳でいつも通り染色して見ました。そのときのスメアです。当直のため内科の当番医師が対応になりましたが、『どういう状況ですか?』と血液培養陽性の状況について聞いてきました。さあどういう解釈をして伝えましょうか?

①おおよその菌種を伝える

②今菌種が不明でも、何時間後に追加情報を得られることを伝える。

③同定・感受性がいつごろ結果でるか伝える

のうちどれかだと思います。

スメア以外にも血液培養陽性時の血液培養機器の画面も見せます。診療科の先生はこういうの見たことないですよね?多分・・・。CO2ガスの増殖を対数曲線にして、接線の傾きにより陽性シグナルが鳴るように設定されています。陽性時間が表示されています。菌によっては少し特徴があるので検査室としては有用な情報になります。

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Photo_72 血液培養の陽性曲線

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2007年6月23日 (土)

グラム染色で見える結核菌

結核菌はグラム染色でどっちになるでしょうか?と学生に良く訪ねますが、正答率は50%くらいですね。グラム陽性菌に分類されるのでClostridiumやCorynebacteriumと同じように見ては見れません。抗酸菌なのでグラム陽性でもややまばらに染まります。ムッフの顆粒とも言いますが、薄く染まりの悪いグラム陽性菌が見えます。ただ、2+(G5)~3+(G9)程度の排菌量でしか確認できないと思ってください白血球に貪食されている像も見えますので、白血球内も良く観察してくださいね。グラム染色より先に抗酸菌染色で確認できますので、臨床的には結核を強く疑うためグラム染色はしないこともあるのでしょう。ただし、加療をいくつもされているのでMRSAが同時に検出されます。ピットホールになります。

結核菌のグラム染色載せておきますね。

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過去の履歴が見難いので

ブログ愛好家各位

本日で3ヶ月が過ぎました。ブログも好調で1日200-300のアクセスがある状況です。昨日にはとうとう47都道府県制覇になり、管理者は非常に嬉しいです。ありがとうございます。

さて、日ごろのメンテもそうですが過去の記事に関して少し見難いと思いましたので少しレイアウト変更をしました。また、過去の記事をグラム染色別にしましたので少し見やすくなるかと思います。今後どうしようか?とも思ったりもしていますが、また見にくくなったら考えることにします。ブログも製本できるようで、それも考えていかないといけないかな?とも夢見ています。また、ご意見下さい。

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2007年6月22日 (金)

Coryne form bacteria

グラム陽性桿菌の感染症は判断が難しく、ClostridiumやListeriaなど病原性の強い菌の場合は問題ないのですが、BacillusやCorynebacteriumの場合は解釈難しいですね。グラム陽性桿菌の主要な病原性はプロテアーゼや毒素です。Clostridiumはここを参照→http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/post_6f87.html

でも病原菌の解釈も難しいですが、見慣れない人には顕微鏡所見も難しいのかもしれません。これはCorynebacteriumですが『ハの字』になるのが特徴です。これは分裂がハの字にするためですが、角度は45度ぐらいまでですかね。くっきりとした染色性なのも特徴です。ジフテリア菌もCorynebacteriumですが菌種を塗抹で確認するのは無理でしょうが。病原性はどうなんでしょうかね?たまに免疫低下の方で菌交代症だろうと思われる所見で好中球に貪食が見えることもありますね。貪食=感染の考えでいくと感染症の起炎菌なのでしょうが。抗体を測定したら上がっている例もあるそうですが。

『ハの字』になっているでしょう。肺炎球菌と間違わないで下さいね。

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2007年6月21日 (木)

閉塞性胆管炎の胆汁

症例58歳男性。閉塞性胆管炎疑いで他院から転入。救急の時間帯なのでとりあえず血液培養が提出されました。翌日外科手術を実施予定ですが、今晩は保存療法のままにしました。これは胆汁のスメアです。他院では初期治療にCMZを投与していたようです。スメア見てどう思いますか?当院での初期治療として抗菌薬はどうしましょう?CMZをDoしましょうか?

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2007年6月20日 (水)

Gecklerなんぼやねん?

こういったスメアがあります。先日の難しいスメアは行き過ぎなので少し簡単に解釈します。

喀痰のスメアですがいつもの顕微鏡的品質管理をしようとして100倍スメアを観察しました。まずは基本的なことからGeckler分類をしようと思います。100倍のスメアを確認しますが、単に色あい、大きさを重視してみますと「Geckler 4か5?」と言いたくなりますが、良く見ると違うことが判ればもうあなたも段持ちです。

次に1000倍のスメアですが記入したように好中球も多いのですが、中ほどに円柱上皮が多いことがわかります。特に集塊を形成しているのは上皮がごろっと剥離したことが良く伺えます。扁平上皮の深層部分もこのような大きさに見えますが、核が濃染色し、細胞質にグリコーゲンが多く見えることがあるので、円柱上皮との鑑別ができるかと思います。

この疾患ですが、上皮剥離を伴う疾患なのでマイコプラズマも考慮する方が良いかもしれません。あくまで臨床症状ありきですが。

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2007年6月18日 (月)

本日は非常に難しい喀痰スメアです

本日は土日に救急に来た患者の喀痰スメアです。

膿性が強くM&Jの分類ではP3、Geckler分類では5としたいのですが、良く見ると『ちょっと待て?』と思えませんか?好中球優位に見えますがはっきりと判るものは少ないですがスメアに名前入れておきますね。やや円柱上皮成分が入り混じり、マイコプラズマ肺炎?と思わせる像です。白血球多めに見えますが、円柱上皮もカウントしてしまいます。???と記載しているものはどの細胞でしょうか?円柱?好中球?悩んでで夜も眠れません。

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勉強会の案内②

勉強会のお知らせです

県内および近隣で開催予定の勉強会の案内について掲載します。

私も時間がある限り参加しようと思いますがどうだろう?日々疑問に思いますが・・・。

(1)兵庫県臨床検査技師会主催の勉強会

 原則として技師会員のみの研修会になっていますので注意して下さい。

①微生物検査研修会6月 その1

18:4520:30 兵庫県臨床検査技師会研修センター(事務所併設)

テーマ:当院における院内感染対策 実践から対応まで

            県立尼崎病院 幸福 知己 先生

            神鋼病院 高橋 敏夫 先生

              甲南病院 中上 佳美 先生

参加費:500

②微生物検査研修会6月 その2(西播地区)

19:0020:30 兵庫県臨床検査研究所会議室

新しい結核診断検査法

QFT-2G TBの紹介と応用

参加費:500

7月8月は予定ありません。

2)その他の勉強会

③第6回大阪シンポジウム

平成1977日(土) 17:00~ 

ホテルスイス南海大阪 8階「浪華東」

メインテーマ:多剤耐性緑膿菌

  1)「多剤耐性緑膿菌のアウトブレイク対応」 阪大 朝野先生

  2)「緑膿菌をめぐる最近の話題」 東邦大学 舘田先生

  3)「緑膿菌の耐性機構と疫学」 国立感染研 荒川先生

共催:大日本住友製薬株式会社

④第20回兵庫県呼吸器談話会

平成19712日(木) 19:00~ 

ホテルオークラ神戸 1階 松風の間

テーマ:「H5N1新型インフルエンザウイルスから新型インフルエンザ」

国立感染症研究所 ウイルス第三部 岡田 晴恵 先生

主催:大日本住友製薬株式会社 

⑤近畿耐性菌研究会(創設10周年記念特別講演会)

平成19811日(土) 14:0017:00

グランキューブ大阪(大阪国際会議場)12

研究会報告

特別講演

テーマ:わが国の抗菌薬市場と抗菌薬療法戦略

高根病院 菅野 治重 先生

  共催:ファイザー製薬株式会社

追加事項

19年度の感染制御部門研修会(神戸開催)の締め切りが6/29に迫っています。現在50名を超える参加申し込みがあります。まだ若干余裕があります。参加予定の方はお早めにお申し込み下さい。詳細は雑誌医学検査5月号を参照して下さい。

テーマ:Immunocompromised hostに対する感染症の診断と管理~臨床に役立つ感染症検査の確立~

7/26(木)~28() 神戸大学医学部および神戸市医師会会議室

内容(実習および講義)

主な実習

・真菌の同定方法(スライドカルチャー中心に)

PCPの診断検査

・寄生虫感染の診断検査

真菌の薬剤感受性検査(PK/PDを含めた解釈)

宜しくお願いします

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2007年6月16日 (土)

炎症像の考え方

今日はお休みなので染色もお休みにします。でも記事は掲載します。

昨日の講演会は好評?で130名も来ていただきました。ありがたや。ありがたや。

さて、先日の「膿瘍の炎症細胞」の記事に色々”新しい”とか”古い”とか内容を記載しましたが、病理学の基本的な書物(バイブルと病理の先生はおっしゃってました。細菌検査にとってはClinical of Microbiologyみたいなものでしょうか?)にこのような記載があります。炎症が起これば炎症叢がどのような状態になっていくのか?です。図もあるので転写して掲載しますね。

炎症の過程は

①浮腫が起こり浸出液が漏出

②好中球の浸潤が始まる

③単球の浸潤が始まる

の過程です。特に「ほほう・・・」と思ったのが好中球の浸潤より1日程度遅れて単球の浸潤が最大になるようです。免疫不全者はこのような状態が満足に行うかは疑問ですが、我々免疫能がしかっりしているヒトではこうなるのですね。

なのでスメアを見ていて好中球ばかりだと1-2日以内の炎症像で、単球が多くなっているものは2日以降の炎症像だということになります。「膿瘍の炎症像」の記事の「極めてアクティブな炎症像」では分節した好中球よりやや大きい赤みを帯びた細胞が見えると思いますがそれば単球(Mφかも)になります。非常に空胞形成も多く活性化している像が分かると思います。貪食に関しては好中球は菌を見つけたら直ぐに行うため、貪食が無いうちは極めて貴重な像になろうかと思います。病理学は勉強になりますね。

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2007年6月15日 (金)

『この菌、どんな菌?』

本日は赤穂で院内感染対策の講演会に呼ばれましたので行ってきます。内容は『この菌、どんな菌?』という内容で、細菌検査の報告書をもう少し看護師さんに理解してもらおうという趣旨で依頼されました。菌名は理解できますが、どういった菌なのだろう?耐性菌がわからないよ~。怖いの安心なの?消毒はどうするの?など現場に行けば色々聞かれることが多いです。そういう疑問を少しでも解消したいそうです。当院も必要だと思っていますが集まるでしょうかね?写真は便のClostridium(種類は判りません)のスメアです。グラム染色でははっきりわかりませんが、このようにギムザ染色をすると芽胞がくっきり確認できます。今回は原虫疾患を考慮して染めたのですが残念ながら見付かりませんでした・・・。芽胞はギムザが良く判りますよ。

Photo_51 ×1000(ギムザ)

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2007年6月13日 (水)

抗酸菌の塗抹標本

今日は抗酸菌の塗抹標本です。新結核検査指針にもありますが蛍光染色法。感度が良いですが蛍光顕微鏡が高くで購入できないのが悩みの種ですね。ただ、蛍光染色は非常に検出しやすいです。

当院は結核指定医療機関なので塗抹陽性は5人/日くらいなのでチールのみでは見れません。チールと蛍光を掲載しておきますが、共に2+(ガフキー5号相当)です。チールの方は真ん中やや上に赤いやや四角い抗酸菌とその上にもう一つ確認できます。このようにやや角ばった長めの抗酸菌は結核菌特有の像です。MACはやや丸いですし、カンサシーは2-3倍縦にも横にも大きいです。なので抗酸菌染色でも慣れれば菌種の推定は可能です。『そんなん無理!?』と思わずに頑張って見てください。

蛍光法(緑蛍光のもの)とチール(赤色)はこんなに見える菌の数が違います。(同一患者の同一検体で同一倍率です。条件は同じです。)

2_4 チール・ネルゼン染色

2_7 蛍光染色

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2007年6月12日 (火)

膿瘍の炎症細胞

今日は症例ではありません。レクチャー(うんちく?)です。

検査をしていると肺膿瘍、肝膿瘍など膿瘍というものが良く来ます。ただ、検体が提出されるタイミングが気になります。抗菌薬が投与されているケースが問題で、特にキノロンを悪く言うつもりはありませんが、菌が全く見えない状態があります。

初期診断で膿瘍形成してプンクした状態で医師から『今、膿瘍プンクしたけど何か居る?』と聞かれても『何も見えません』としか答えようがないですね。こちらも残念ですが、医師も残念に違いないです。そういった場合に問題なのは標的の細菌が掴めないままキノロンの注射やカルバペネムの投与になってしまうのでしょう。消えているのは”前投与の抗菌薬に効果がある”とメッセージを残しています。

付け加えて炎症の状態を伝えると『この膿瘍は今どんな状態で形成されている』が伝えれるはずです。膿瘍が進行しているのか、治りかけか、終焉なのか。それによっては治療方針が異なると思いますがどうでしょうか?

①極めてアクティブな炎症所見

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好中球の核が非常にキレイに見えるものが多数(ほぼ全部)確認できますし、一部単球も確認できます。核は分節から桿状に見えますがさほど左方移動はしていないことが多いです。核がキレイで分節が多いのはまさに炎症の現在進行形です。

②やや落ち着いた炎症所見

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①に類似した核がキレイな好中球と核や細胞質が不鮮明な白血球が入り混じっています。長期に放置されていた膿瘍(肝膿瘍などサイレンスのもの)に多く見られます。ただ、核がキレイなのは今も炎症がアクティブなことを示していると推測されます。

③炎症の終焉?

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①→②→③と進行している過程と思われ、核がキレイな白血球は殆ど見られない状態です。背景には浸出液もそうですが核や細胞質が非常に不鮮明な白血球が多く炎症が終焉に向け進んでいっていることが推測されます。この状態であれば排膿(洗浄も?)してしまえば、患者の状態ありきですが抗菌薬が不用な場合もあろうかと思います。

グラム染色はエオジン染色が後染色になるので或る程度理解可能と思われます。まず菌を見つけることは最低条件ですが、背景も読めるようになれば面白いですね。

どう思われます?コメント下さい。

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2007年6月11日 (月)

新人研修会お疲れ様でした・・・

6/7-9まで神戸大学医学部で開催していました新人研修会が無事終了しました。実務委員、受講者の皆様お疲れ様でした。例年よりやや多くの受講がありましたが無事終了できて『ホッ』としています。皆様のご協力のお蔭だと思っています。ありがとうございます。

例年開催していますが、新人を対象とした研修会を開催している都道府県は非常に少ないと思います。プログラム「19.pdf」をダウンロード 

『新人は自施設で育成したらいいじゃん!?』と思われる方もいらっしゃるとは思いますが、検査室も1-2名の少数でしていることやローテーション(異動)で新しい分野をすることなど、初級者の教育が不足している状態です。ましてや卒業して数年経った後に『来月から細菌検査してね・・・』と言われたらどうでしょうか?ルチンは何とか卒なくこなすとは思いますが、臨床の現場は学校教育のような定型業務のような平坦な道ばかりではありません。イレギュラーが起こった場合は①勉強して習得する。②人に聞く。果たしてどうでしょう?細菌検査は緊急性の高いものが多く、②が柔軟に行うことが肝要かな?と思っています。間違っているでしょうか?ご指摘下さい。

たぶん、個人でグラム染色を頑張っている人にとっては同じことではないか?と思います。本ブログはそういった方の手助けになれば・・・?と思い続けています。

新人研修会の趣旨は

①基本的な操作方法など習得する

②データの読み方・解釈方法について考える姿勢を学ぶ

③横の繋がりを持つ良い機会を作る

と思います。1つの菌の検査方法も習得する大切さもありますが一定の教育を受けているので応用可能かと思います。新人の方頑張って下さいね。

実習風景を添付しておきますので受講生の方感想書き込みして下さいね。

Photo_47 グラム染色の指導風景

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2007年6月 6日 (水)

好中球減少時の喀痰スメア

現在は医療も進み外来での抗癌化学療法も可能になりました。感染の考え方も特別に無菌室も必要なく外来でできるような考えになってきています。ある意味凄い斬新だといつも思い返すと感動しています。ところで、好中球減少時の患者で肺炎を疑う時ですが、いつものGeckler分類はどうでしょうか?

①普通に使う

②使えないので使わない

③とりあえず分別不可能なので分類しています

色々考えが交錯するところと思います・・・というよりそこまで考えが及んでいますでしょうか?

末梢血に白血球が無い状態では当然感染症にさらされる危険性は高いのは皆さん理解されているとは思いますが、いざ「肺炎だ!」と言われスメアを普通に見てませんか?当然ですが末梢に白血球が少ない=喀痰にも白血球の浸潤が無いと繋がっていますか?なので分類はどうでしょうか?用いることはできまないのではないでしょうか?その辺の皆さんの考えはどうでしょうかね?可笑しい?と思えば血液検査のデータを参照していますか?大事と思うのは私だけ?・・・

スメアはその好中球減少時の肺炎患者の喀痰です。白血球が殆ど見えない状態ですが背景にはフィブリン糸と思われる繊維状のものが多数染色されています。肺内での炎症が多いが、末梢に白血球がないので当然このような何も味気ないスメアになると思います。また、好中球減少時なので予防的にCFPMなどのブロードの抗菌薬が投与されており常在菌おろか起炎菌らしい菌も少数すぎる?ため確認できません。糸口は浸出液のみにです。コメントを活かすには医師との連絡が必要です。余力があれば真菌や抗酸菌の検索も必要でしょう。

少しスメアは小さいですがすいません。

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2007年6月 5日 (火)

再び骨盤内膿瘍

症例41歳女性。腹痛にて来院。エコーで膿瘍所見あり。CTにて広範囲に骨盤内膿瘍を確認。手術にて排膿を実施しました。術前にCEZ開始し術後1日でCEZを施行しました。術時にスメアを見てくださいと依頼あり見たところこのスメアでした。起炎菌は?と尋ねられまして可能性のある菌を3種類言いましたが、スメアの様態より可能性の高い菌を即時報告しました。以前にもブログ掲載していますが同様なケースです。ただし起炎菌は違いますよ~。ヒントはブログにあります。甘いかな?可能性のある菌は3つ上げるとしたらどうでしょうか?考えてください。

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2007年6月 4日 (月)

尿路感染症の由来臓器は・・・どこ?

症例:56歳女性。今回は2回目の入院で大腸がん術後の放射線療法を2週間継続中。昨日より発熱を来たし尿が提出されました。その時のスメアです。主治医より菌名と膀胱炎か腎盂腎炎かスメアで判断できます~~?とコメントもらいました。私は即答しましたが、皆さんはどうでしょう?考えてください。発熱時よりLVFX300mg/日を実施していましたが、経過は良くないようです。血清Creは2.3とやや上昇気味です。一応LVFX変更→CTRX+GMで進めてもらうように言いました。大腸菌のLVFX耐性(当院は15%くらいですかね)も気になるので。ESBLは殆ど出ません。補足ですが、患者は尿道の閉塞もあり、尿管カテ留置しています。前回6ヶ月前ですが、尿からEnterobacter cloacae(CEZ,CTMは耐性、GM、LVFX、CTX、CTRXは感性)が検出されています。

でも膀胱炎か腎盂腎炎かでそこまで変わるのかな?とも思いますが主治医いわく、発熱があるが膀胱炎症状のみで、泌尿器科でも腎盂腎炎は否定されたようですよ

それをスメアでフォローできますか?難しいですかね?

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2007年6月 1日 (金)

急性化膿性閉塞性胆管炎の患者

65歳男性。胆道閉塞で来院。熱が高かったのでとりあえず血液培養を採りました。3病日には抗菌薬では良くならずドレナージも兼ねて胆汁も採取しましたが、それより先に血培陽性になりました。その時のスメアです。カルチャーボトルは混濁でガスの産生があり、好気用嫌気用とも陽性です。2つともスメア掲載します。どうでしょうか?

Aosc600 ×1000 嫌気ボトル

Aosc600_1 ×1000 好気ボトル

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