グラム染色所見は簡単ですが・・・難しい症例も
今回はこんな事例です。グラム染色所見は簡単ですが、臨床結果と合わないことも多くありますよね。今回はこんな症例です。考えましょう。
症例:72歳男性。COPD。在宅酸素療法にて外来加療中。
2週間ほどまえより、たまに呼吸障害あり、近医のかかり付け医院でフォローしていましたが、昨日より呼吸状態も悪化したので来院。呼吸音がやや増強しているものの肺レ線は著明な所見もなし。COPD悪化のためメチルプレドニゾロン投与開始。
入院時の主な所見ですがpO2 85%(room air)、体温36.7℃。CRP 0.2,WBC 7800。
本日のWBCは11400とやや上昇しているものの、CRPは0.5と横ばい。肺レ線は特に問題ないが、肺音やや増強。昼に黄色の痰が出たので細菌検査に出しました。
その時のスメアです。直ぐに臨床へ報告しましたが、所見と合わないとのことでした。どう考えますか?スメア簡単なんですがね・・・・。
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コメント
みなさま・いつも勉強させていただいています。
このようなケースでは「CRPが低い・胸部XP大丈夫そう」で安心していると危険であると思います。「所見と合わない」が「CRPが低い」ということであるならば失礼ですが??マークをつけたくなります。COPD(肺気腫ですか?)+HOTというような方が呼吸苦増悪したときには速やかに原因検索が必要です。感染症とは限りませんが。汚染空気・気胸・不整脈・虚血性心疾患・血栓症などなど。感染症もウイルス性でもよいです。肺気腫患者では肺実質が破壊されており肺炎を来たしてもXP異常が見つけにくいことは有名です。CRPや熱はCOPD増悪に対してステロイド投与されるとマスクされ得ます。
痰スメアはPMN+GPDCランセット型でS.pneumoniaeの関与が疑われると思います。喀痰増加があるようならば、CRP正常・胸部XP正常?でも自分なら抗菌薬投与を考慮します。
ご意見いただければ幸いです。
投稿: 総合内科医志望 | 2007年5月 2日 (水) 21時31分
総合内科医志望さま
なる~、なコメントありがとうございます。
やはりそうですよね。以前も違う患者ですがそういった事例がありました。2日後に肺の画像に異常が出てきたようです。検査としては臨床と合わなくても迅速な結果報告をするスタイルを崩すと良くないと思っております。こういう病原性の強い菌種が出てきた場合などは特にです。なので、通常の肺炎球菌性肺炎と同じ扱いで対応していくようにと思っています。やりすぎ?と思われる方もいらっしゃるとは思いますが失敗が許されない状況もありますので全力を尽くすことが重要と思います。当院の呼吸器の先生にも聞いてみます。非常に参考になります。検査に居るとこういった疑問は解決できないものですので。
投稿: 師範手前 | 2007年5月 2日 (水) 22時00分