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2007年5月10日 (木)

本日はグラム染色でありませんが塗抹所見を参考にしたい症例です

3歳、男児。主訴:軟便、発熱。2週間前から下痢を繰り返す感じですが特にひどくはない状況ですが、近医で感染性胃腸炎と診断あったようです。外来受診時には主要な血液検査WBC 30,500(好中球38%)、PLT 6.1万、T-bil 1.2、LD 1,500、CK 205、Cre 0.6。便培養菌の発育認めずです。血液の目視分類をしていた時にピピッ!!!と感じました。スメア掲載しておきます。下痢のフォローはどうでしょうか?起炎菌の検索などで追加で何か検査が必要ですよね?細菌検査はどういうアプローチしましょうか?難しくはないと思いますよ~~。

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背景など病態把握」カテゴリの記事

コメント

小児は普段あまり担当いたしませんが・・・末梢血標本はグラム染色同様自分で見ることが大事だと思います。カウントだけでは血液病も見逃してしまいます。さて症例では末梢血にFragmentRBCが見られます。一部にGiant-Plateletもあるように思います。Thrombotic microangiopathy(TMA)の像で血小板減少・溶血性貧血が予想されます。Hb/Reticulocyte/ハプトグロビン測定を行いたいです。経過からはVTEC(EHEC)感染によるHUSのケースと考えます。以前はTTPとHUSは同じ疾患?と考えられていましたが最近はTTPはADAMTS13の活性低下が本体と考えられ、成人TTPではADAMTS13の活性測定が診断に有用ですが本ケースでは必要なく、便の再検・EHECの検出・毒素の証明をすることが診断となるのではないでしょうか。血培での陽性率はどうなのでしょうか。不勉強で存じ上げません。
Fragment RBCは一般内科領域でもキーとなる所見なので自分で標本で見つけられるようにしたいものです。

投稿: 総合内科医志望 | 2007年5月13日 (日) 21時52分

総合内科医志望さま。高尚なコメントありがとうございます。少し勉強させてもらいました。難しいので少し解説を加えます。
①TMAおよびTTPとHUS
TTP:1924年米国のEli Moschcowitzによって始めて報告された全身性重篤疾患。
1)細血管障害性溶血性貧血(microangiopathic hemolytic anemia: MAHA)
2)破壊性血小板減少
3)細血管内血小板血栓
4)発熱
5)動揺性精神神経障害
の5症状を呈する疾患。
HUS:1955年にドイツのGasserらにより報告された疾患で上記の1)~3)を呈する疾患。

TTPは極めて稀な疾患で、患者の殆どは成人であり、一方HUSは小児に多く、とりわけ近年は腸管出血性大腸菌O157:H7株による感染性腸炎に続発するものが殆どであると言われていますが今はもう少し進んでいるのでしょう。

TMA=TTP+HUSって感じですかね。

②ADAMTS13はa disintegrin-like and metalloproteinase with thrombospondin type 1 motifs 13の略でvon Willebrand 因子の特異的切断酵素の事です。典型的TTPではこのADAMTS13活性が欠損しているようです。先天性の場合は見ると良いかもしれません。なお保険点数は未収載であるので混合診療になりますので注意してください。

後天性のTMAの場合はO-157を含むEHECが産生するベロ毒素によるHUSが多い状況です。今回は下痢が先行する感染症で末梢血に破砕赤血球が確認できることから、HUSの危険性について報告しなければなりません。この後の検査といえばO-157LPS抗体(保険収載)や抗ベロ毒素抗体(保険未収載)の測定になります。O-157LPS抗体はラテックス凝集で簡単にできますので救急診療を行っているところでは重宝します。当院でも年に2-3人ひっかかります。IgM抗体を見るので感染して5-7日かかりますが、初期症状のある場合は便培養にて陽性になることも多く、抗原が見つからないが可能性が否定できない場合に検査すると良いかもしれません。EHECでO-157以外ではどうするのだ?というと市販されているのがO-157のみになりますので通常のラボでは難しいです。いまやEHECは100種類を超えています。殆どがO-157ですが、次いでO-26、O-111になります。通常この3種類は病原大腸菌検査で陽性になりますが、それ以外では陽性にならずひっかかってこないのが現状です。昨年EHECを中心とした抗原の型が増えたため検査する幅が少し増えました。しかし焼け石に水です。少し進んでいるラボではベロ毒素の代わりにエンテロヘモリジンを検出してベロ毒素産生の可能性を確認しています。病原因子でもエンテロヘモリジン陽性→ベロ毒素陽性となりますので、血清型、菌名にとらわれず検出可能になりますので重宝しますよ。
始めに戻りますがO-157にはソルビトール遅分解または非分解という特殊な生化学性状を持っていますので、O-157を疑う場合には翌日には推測ですが分かります。2日も不要です。検査室に聞いてください。検査技師の国試でも出るくらいですので特別な培地ではありません。ただ、外部委託の場合は赤痢、サルモネラと指定するとO-157の検査を省略されているかもしれません(目的菌以外になるので)ので一度契約内容を確認してみたほうが良いかもしれませんね。

投稿: 師範手前 | 2007年5月14日 (月) 23時48分

忘れていましたが、Hbは9.1g/dlくらいです。レチクロとハプトグロビンを計るのは考え付きませんでした。感謝です。
便からの直接ベロ毒素検査は陰性で、PCRまでは実施していません。前記事の抗体はHUS時のみ届出(3類)必要ですので。HUSとならない場合はカウント対象外だそうです。おかしな話ですね。

投稿: 師範手前 | 2007年5月14日 (月) 23時53分

ブログの主旨と少し外れたコメントで失礼致しました。O-157について勉強になりました。ありがとうございました。蛇足コメントですが、ADAMTS13はコマーシャルには測定できず、いつも奈良県立医大輸血部の先生方にお願いして測定していただいています。NEJM2002;347:589にTMAのReview、NEJM2006;354:1927にTTPのReviewが載っています。かなりマニアックですが・・・。
TMAは厳密にはHUS+TTPという概念ではなく、悪性高血圧症や重症妊娠中毒症でのHELLP症候群や強皮症腎の一部など微小血管内皮障害にもとづく溶血性貧血・血小板減少などを来たす疾患の総称と考えたほうがよいようです。Typical TTPは先天性の異常ではなく、後天的にADAMTS13の活性低下を来たすもので著明低下が特徴です。その他の膠原病由来TTPなどでは活性低下が余り目立たないようです。興味のある方は上記などご参照ください。総合病院での一般内科、という立場で診療していると類似の病態は年に数回程度は遭遇いたします。

投稿: 総合内科医志望 | 2007年5月17日 (木) 20時51分

いえいえ。私も今回は凝固学について勉強になりました。ありがとうございます。昔は学生の頃に凝固のカスケードを授業で習いましたが、現在は理論も異なり授業では本当に基礎以外のことは教えていないようです。時代は変わりますね。
ところで、ADAMST13活性は○菱化○メディ○ンスで測定可能なみたいですよ。3-5日くらいです。病院の契約の問題かもしれませんので一度相談したら良いかもしれませんよ。又外注でも可能であれば。

投稿: 師範手前 | 2007年5月17日 (木) 22時10分

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