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2007年4月 3日 (火)

昨日の関節液・・・

昨日の関節液ですが、顕微鏡で見えていたのが好中球、単球、組織球でした。グラム染色は菌の有無、種類を見つけるための検査になりますが、染色の一つでもありますので白血球の種類も判別可能になります。細胞質が赤みがかった様子になっているのが単球系の特徴になっています。

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関節炎であるので細菌性が主なものになろうかと思いますが、今回は組織球の数がこのように多いため感染してから数日経っていることが推定できます。好中球の核も明瞭ですので感染がアクティブな状態を示しています。

また細菌が見えない場合の主な考え方として

①菌量が少ない

②抗菌薬によって消失した

③非細菌性化膿性関節炎

になります。

13歳から推定すると、黄色ぶどう球菌以外にもインフルエンザ菌の可能性もあります。特にインフルエンザ菌は菌体が見えにくいので注意しないと分からないことも多いです。

今回は迅速検査でインフルエンザ菌は陰性でした。

③は無機塩の結晶を見つけて下さい。特に貪食像があることが多いです。結晶性化膿性関節炎で細菌性の関節炎との鑑別が難しい場合があると整形外科の先生はおっしゃってました。『関節液に結晶がある』との報告は非常に助かるとのことでしたので、結晶見た場合は報告するのがベターですよ。

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背景など病態把握」カテゴリの記事

コメント

う~ん、勉強になります!ありがとうございます。

投稿: 学生5年 | 2007年4月 3日 (火) 23時38分

学生5年さま

そうですか。そう言って頂けるとありがたいです。
多分好酸球や好塩基球も分かると思いますので応用して下さい。髄液細胞を見るのも同じですし、胸腹水では悪性細胞も分かることもありますよ・・・。

投稿: 師範手前 | 2007年4月 4日 (水) 02時56分

いつも参考にさせていただいています。
某検査室で技師をやっております。
初めてコメントを書くのですが、質問になってしまい、すみません。
グラム染色で結晶が認められたとき、偏光レンズで尿酸とピロリン酸の確認をするのですが、先日両方の結晶が認められました。
混在する症例というのは、結構あるものなのでしょうか?

投稿: ha-s | 2007年4月10日 (火) 21時47分

ha-sさま
質問は鋭い内容ですが
痛風・・・尿酸の代謝異常など血液中の尿酸が高濃度になり関節などに蓄積されてなる病気。プリン体の代謝異常。
偽痛風・・・ピロリン酸などの代謝異常で血液中い高濃度になり関節などに蓄積されてなる病気。肝機能低下でおこりやすいとの記載もあります。

痛風より偽痛風の方が多いそうです。症状的にはほぼ変わりそうです。CRPがそんなに上がらないので、重症例では細菌性との鑑別も可能だと整形外科の先生はおっしゃってました。

なので双方認められるのは十分にあると思います。血液の尿酸値はどうですか?
当院でも圧倒的に偽痛風が多いです。

投稿: 師範手前 | 2007年4月11日 (水) 12時06分

ご解答ありがとうございました。
経験が浅い為か、尿酸・ピロリン酸の双方が混在しているものに出会ったことがなかったので、勉強になりました。
当院でも、偽痛風の方が多いです。

血中の尿酸値は依頼がなかったので、測定していないようです。検体が残っていれば一度検査してみます。

投稿: ha-s | 2007年4月12日 (木) 12時45分

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