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2007年4月24日 (火)

下痢です

今日はこんな症例です。下痢を主訴とした場合の対応です。少しイレギュラーなものですが海外では問題になるものもあるようです

症例:84歳、男性。主訴:食思不振。既往歴:C型慢性肝炎、高血圧。喫煙歴なし。頻回(5-6/日)の下痢あり、食欲低下もあるため外来受診。便培養陰性。急性胃腸炎と低K血症と診断され、CFPN内服。症状改善のないまま内科受診しLVFX内服。改善ないが重症化することないため外来フォローをしていたが、2週間後に脱水症状著明となり入院となる。入院後GIF(胃内視鏡術)施行するも萎縮性胃炎と診断される。WBC 17,400/μl,CRP 3.2 mg/dl, TP 4.2 g/dl, CA19-9 219 U/ml, CEA 44.4 ng/mlICTへ相談あり、介入となった。

その時の便培養のスメアがこれです。何をコメントとされますか?

7_2

その①

7_3 その②

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グラム陽性菌」カテゴリの記事

コメント

大型のグラム陽性桿菌はその2ではグラム陰性桿菌化して芽胞を形成しているように見えます.この大型の菌はClostridium difficileと考えました.そのほか楕円形の酵母細胞もあるように見えます.
難しい!

投稿: 佐藤元美 | 2007年4月24日 (火) 22時42分

佐藤先生

いつもコメントありがとうございます。
芽胞もあり、下痢ともなればC. difficileも考えますが、それだけでは不十分かと思います。どうでしょうか?背景など考慮に入りませんか?常在のClostridiumなどたくさんあるように思いますが。

投稿: 師範手前 | 2007年4月25日 (水) 11時53分

もうすぐ1週間経ちますのでヒント(答え)なるものを記載します。
その2の塗抹の上側に陽性桿菌で端が抜けた菌が2つ並んでいます。芽胞形成菌です。このように明瞭な芽胞形成菌はBacillusかClostridiumの可能性が高いです。この症例は少し難しい?のですが、大腸にフォーカスがあるのがCEAやCA19-9の結果から分かりますよね。白血球も高く慢性の下痢が悪化しているので、潰瘍性大腸炎とかのR/Oも必要です。とりあえず便培養を再度実施する必要性もありますが、よくよく見ていると最初に抗菌薬の投与もあります。スメアをもう少し見てみるとその1のスメアでは長い陽性桿菌の背景に赤く丸い?四角い?物質があります。白血球の残骸?上皮の残骸?の様相ですので大腸粘膜の障害が予測されます。加えて上述したClostridium?のスメアなので偽膜性腸炎を疑うことが必要です。そしたら、その後はどういったことを進めていきましようか?

投稿: 師範手前 | 2007年4月30日 (月) 02時03分

初めて書き込みさせていただきます。研修医1年目です。いつも勉強させていただいております。ありがとうございます。
さて、C.diffによる薬剤性腸炎を疑うのであれば、CD toxin A,Bを提出したいところです。(toxinBは検査できるところが少ないのかもしれませんが。。。)私の理解では、C.diff colitisの診断にはCDtoxinだけで十分かと思っていたのですが、今いる病棟では、toxinAに加えて「C.diffの培養」なるものを出す先生がほとんどのようです。個人的には、ちょっとムダなお金なのかなぁなどと思っているのですが、そのあたりはいかがでしょうか。ご教授いただけますと幸いです。

投稿: takky | 2007年4月30日 (月) 10時02分

takky さま コメントありがとうございます。
Clostridium difficile associated diarrhea(CDAD)を疑う場合ですが、そうですCD toxinの検査をすると良いですね。コメントのそおり現在ではイムノクロマト法にてtoxinAのみの検出しかできません。CDチェックという試薬(今はあるかわかりませんが)は一部菌体成分を引っ掛けるとお聞きしています。培養の是非もありますが、菌の中で毒素非産生株も多数検出されますので培養=毒素とはなりません。厳密には細胞培養が必要です。どうしてもという場合は培養陽性の菌株を前処理して再度毒素の証明をすれば良いのですが、臨床に則した検査?と思いますので施設ごとに決定されれば良いと思います。培養には特殊培地が必要でしかも培養日数がかかる(4-7日前後)ことも含めて考えますが当院ではコストも赤字になるので実施していません。

投稿: 師範手前 | 2007年5月 1日 (火) 11時49分

師範手前先生
お返事いただきましてありがとうございましたm(__)m
毒素を作らない株もいるのですね。そうすると、たしかに
培養ではover diagnosisになってしまいますね。
施設ごとにpracticegが大きく違うというのも、
日本の医療の一つの特徴なのかもしれないなどと
思ったりもいたします。その良し悪しは別ですが。。。

投稿: takky | 2007年5月 3日 (木) 00時45分

そうですね。施設ごとの診断検査についても異なる状況です。検査室間差もあります。大病院とかじゃなく卒後教育についても地域ごとに温度差もあると感じます。私たちの努力不足もあると思います。ちゃんと標準化もしないといけませんね。

投稿: 師範手前 | 2007年5月 3日 (木) 16時22分

takkyさま・師範さま
便の検体のスメアはこだわってみたことがなく、勉強になりました。難しくて解説を聞いても読みきれませんでしたが・・・。
C.difficile培養は自分はオーダしたことありません。培養陽性がCDADの診断に与えるインパクトはほとんどないと考えます。培養陽性でも確定できないし陰性でも否定できない・培養自体がなかなか困難。培養オーダされる先生にその結果によりどのようにその後の判断が変わるのかをご確認いただければ幸いです。
CDトキシン検査はICT法で。「CDチェック」は出さないほうがよいです・自施設のCDトキシン検査が何で行われているか確認するとよいと思います。自分は臨床像からCDAD疑われる時には便中WBCとCDトキシン複数回のチェックを行います。検体量により感度が向上すると理解しています。ただし日本のICT法キットはご存知の通りトキシンAだけでありトキシンBのみ産生する株については当然感度0%となります。
CDトキシン複数回陰性でもCDADが否定できない(便WBC+で他の診断がはっきりしない時など)時には
1)Sigmoid fiberを行い偽膜を確認する
偽膜を認めれば通常はCDAD(のうち偽膜性腸炎)と考えて矛盾はないと思います。偽膜がないことは必ずしもCDADを除外しません。
2)empiricにメトロニダゾールで治療を行ってみる
 のどちらかを臨床状況から選択するようにしています。日本は比較的大腸カメラがすぐやれるので1)は有効と思います。sigmoidまでに病変があることがおおいのでtotal CFは必ずしも必要が無いように思いますがCDADの事前確率をどの程度考えるかによって、Totalも必要とするときもあります。
2)もほとんど害のない方針ですので(安い・副作用も重篤なもの少ない)SF/CFはちょっと・・・という高齢者の場合などトライしてもよいように思います。
文献の裏付けのないコメントで失礼しました。

投稿: 総合内科医志望 | 2007年5月 4日 (金) 11時26分

総合内科医志望さま
コメントありがとうございます。連休ですが出勤ですか?ご苦労様です。という私も当番ですが・・・。
便の塗抹に関しては賛否両論だと思います。恐らく殆どが無用?だと思われているのでないでしょうか?便の塗抹が有用なのはCampylobacter腸炎の場合のみではないでしょうか。
あと、便の場合は排便の状態(有形か固形か、色調、血液付着ながないか?)などを観察するのが有用と思われます。CD腸炎の場合は緑色と記載されている参考書もあるようです。私は塗抹に関しては剥離してきた細胞を有意に見ていますし、後輩に指導しています。ただし、下痢便であることを前提に進めなければなりません。
外来なのか入院中なのか分けた後で、外来であれば白血球のある場合はinvasiveな起炎菌(赤痢、サルモネラ、キャンピロ)の可能性も高いと思っています。白血球のない場合は毒素型(ビブリオ、毒素原性大腸菌など)ですかね?O-157は毒素なので白血球はあまり出てこないような気がしますが赤血球は多いですね。

白血球の有無に関しては以下の文献を昔に読んで参考にしたところもあります。本邦には試薬がないのでしょうね?聞いたことありませんが、面白いstudyですね。参考になるでしょうか?

Comparison of Fecal Lactoferrin Latex Agglutination Assay and Methylene Blue Microscopy for Detection of Fecal Leukocytes in Clostridium dificile-Associated Disease:
JOURNAL OF CLINICAL MICROBIOLOGY, May 1994, p. 1360-1361

To Culture or Not To Culture: Fecal Lactoferrin Screening for Inflammatory Bacterial Diarrhea,JOURNAL OF CLINICAL MICROBIOLOGY, Apr. 1996, p. 928–932

投稿: 師範手前 | 2007年5月 4日 (金) 16時04分

師範様、いつも勉強させてもらっております。
ありがとうございます。
ところで、
http://blog.goo.ne.jp/23c2230/e/f75e350b813de4ebd741315c293c7623
に、僕の当直中に来た
UCの初発の女性で、外来でのジギタールの塗抹を
載せてます。便中白血球のメチレンブルー染色です。
僕が研修した病院には上記の染色はありましたが、
一般的にはあまりされない染色なんでしょうか?
グラム染色でも便中白血球は見えたので、
それでも代用できるもんなんでしょうか?
いずれにしても慢性下痢症でのfecal leukocyteの
有無は鑑別を大きく左右するものではないかと思っています。
消化器にいたときは虚血性腸炎の患者さんが多かったので
メチレンブルーをしまくってましたが、一例もヒットしませんでした。

投稿: Kanpo-Master | 2007年5月 7日 (月) 01時09分

Kanpo-Masterさま コメントありがとうございます。さて、メチレン青染色ですが、一般的には形態のみ観察する場合の染色ですよね。尿道分泌であれば淋菌、細菌性腸炎であればキャンピロバクターなどがあります。当然グラム染色でもOKですが、ステップが多いことや有機溶媒が多いので赤血球の存在を確認するのはメチレン青が良いのじゃないでしょうか?当院では髄液もすることがありますよ。
UCの場合にするのは白血球もそうですが、赤血球も見れますので有意義ではないのでしょうか?慢性下痢の場合は確かにUCも疑うのですが、エコー状で判別出来ない場合も多く、当院でもR/Oで細菌検査が出てきます。見ている状況では重症度にもよりますが、血便(鮮血)が出てきている場合では白血球の有無など見て起炎菌の検索、R/Oへの有用な情報に用いています。菌の検出のみならず起炎菌が見付からないのがUCにとっても有用な情報となるとは思っていますがどうでしょうか?

投稿: 師範手前 | 2007年5月 7日 (月) 12時26分

CDトキシンの検査に今までB型の検出が通常のラボで出来なかったのですが、6/1に日水製薬というところから簡易キットが出ました。イムノクロマト法でA型もしくはB型が陽性であれば検出可能です。ただしA型、B型の区別はできません。デモも見ましたが問題点と考えられる事項をまとめます
①A型B型の区別がつかない。
②メンブランが薄く注入口に根詰まりを起こす
③定価が保険点数より高く保険での回収が不可能。
ただし、今までCDの時不明だったB型の要素が組み込まれたため治療、コストのどちらをメリットとするかでしょうね?

話は変わりますがもう一つ再燃例ですが、通常再燃は10-25%で起こり、再燃例が再燃する確率が65%で程度と文献に記載がありました。再燃には①薬剤耐性②コンプライアンス③芽胞の問題などいくつかあります。
①に関してはMNZがVCMより多く報告されています。
③に関してはVCMは休眠期のCDには効かない。
ことです。①は感受性検査が出来ないことや時間のかかることでレトロなサーベイになってしまいます。③にはVCMの減量療法があります。
125mg・4回/日 7日間→125mg・2回/日 7日間→125mg・1回/日 7日間→125mg・1回/2日 7日間→125mg/1回/3日 14日間

です。6週間かかりますが効果あるようです。当院も実績ありますが再燃する人も居ます。難しいですね。

投稿: 師範手前 | 2007年6月11日 (月) 19時06分

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