緑膿菌と肺炎桿菌
先日から肺炎桿菌と緑膿菌をブログ掲載していますが、鑑別して下さいと書いています。鑑別できるの?と思われている方々がいらっしゃるといけないので2つとも掲載(肺炎例)して鑑別してもらおうと思います。
緑膿菌(ムコイド状)
グラム陰性ですが、陰性(赤色)の様態もやや柔らかな色彩でムコイド部分もベターとして染まっています。菌体の両端が丸く、湾曲していて、菌が単一形成しているのが分かると思います。(わかりませんか?)
肺炎桿菌
グラム陰性ですが、陰性(赤色)の様態が硬く濃い染色性になっていると思います。菌の両端はやや角ばって短い桿菌です。中には連鎖状になっているのが特徴で、脱色が悪いとブドウ球菌や肺炎球菌と間違えそうですね。莢膜は菌の周囲にあり、抜けたようなものや少し赤みがかったものが見えます。
ためになりますかね?コメント下さい。
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コメント
はい、大変ためになっております。
これからも症例提示をお願いします。
投稿: vam | 2007年4月12日 (木) 15時57分
あんずの呼吸から飛んできました、Kanpo-Masterです。
いつも勉強になります。これからも症例を沢山見せてください。
ところで、septic arthritisでグラム陰性桿菌が原因の症例の
ご経験はございますでしょうか?以前にエンテロバクター、クロアカエのseptic arthritis
でグラム染色をみてギョッとした経験があります。
文献的には報告はありますが、あんず大学ではかなり
珍しいとのことです。
師範の病院ではいかがですか?
投稿: Kanpo-Master | 2007年4月12日 (木) 18時24分
Kanpo-Masterさま
ありがとうございます。グラム陰性桿菌の化膿性関節炎ですか。インフルエンザ菌以外では経験ないですね。珍しいとは思いますが、腸内細菌の骨髄炎は経験あります。それはギョッとしますよね。通常ぶどう球菌?レンサ球菌?と考えていますしね。
仮説ですが、ぶどう球菌、レンサ球菌が多いのは侵入門戸が多いからでないでしょうか?大腸菌などの腸内細菌が少ないのは侵入門戸が少ないからで、一般に血流感染の合併症でしか起こりにくいのでないでしょうかね。血流感染を起こせばよっぽどのことが無い限り早期治療になりますので関節炎になる前に治療してしまうからでないでしょうか?関節内には血管が乏しく関節腔内に菌が貯留するまでには時間がかかるからのような気がします。ぶどう球菌の場合は皮膚のような部分に常在している都合もあるので多いのでないでしょうかね。これはあくまで膝関節などの遠位の関節に起こることで、骨盤周囲に関しては腸内細菌も多くなるのでないでしょうか?骨髄炎の時は敗血症に伴う2次性のものだったように覚えています。答えになっていないですよね。治療方針は困らないですが、入院期間が長いですよね。
感染症学会でもお会いしたかったのですが・・・。グラム染色はネタ切れになるまで掲載したいと思います。これからもよろしくお願いします。
投稿: 師範手前 | 2007年4月12日 (木) 19時27分
septic arthritisに関しては、結構どこにでも飛ぶ印象があります。knee>elbow>shoulder>hipなどなど、、
前回はUTIのペーパーが思い出せなかったのですいません。
今回はしっかりreferenceを挙げておきます。
以下はseptic arthritis関連のものを挙げておきます。
■Infectious arthritis Postgraduate medicine 1996;99:127-139
■Septic Arthritis [BMJ 2006;333:1107-8]
■No changes in the distribution of organisms responsible
for septic arthritis over a 20year period.
Ann Rheum Dis 2002;61:267-269
■Tailoring initial treatment to clnical findings
Infectious Arthritis 1996;99:127-139
■Septic Arthritis [LANCET 1998;351:197-202]
■Risk Factors for Group B Streptococcal Disease in Adults
[Annals of Internal Medicine 1995;123:415-420]
■Septic Arthritis Current Treatment Options in Infectious Diseases 2003;5:337-344
■Septic arthritis Risk factors for septic arthritis in patients with joint disease[Arthritis & Rheumatism 1995;38:1819-1825]
■Septic Arthritis [Infec Dis Clin N Am 2005;19:799-817]
あとGNRに関しては、僕自身はseptic arthritisはN=1で
非常にびっくりしましたが、下記によると肝硬変などある場合には腸管からのtranslocationが起こりうることを常に考えておいた
ほうがよさそうです。
■LC [Gut 2005;54:718-725]
肝硬変の人においてはbacterial translocatonは
Aでは3%、Child Bでは8%, Child Cで明らかに増加(30%)する
■Bacterial translocation of enteric organisms in patients with cirrhosis
[Journal of Hepatology 2001;34:32-37]
長くなりすいません。今後ともよろしくお願い致します。
感染症学会は外来のためいけませんでした。
再来年の総会はうちのボスが会長のようです。
投稿: Kanpo-Master | 2007年4月13日 (金) 00時20分
関節炎の文献ありがとうございます。早速読みたいと思います。素早さに感銘しています。でも色々見ていると淋菌の関節炎が多いとの記載もありますが、本邦では少ないので問題になりませんが米国はそこまで深刻なのでしょうかね?HIVの問題も多いですし。今後とも宜しくお願いします。再来年は東京ですか、来年は島根ですね。ゲゲゲの鬼太郎ですね。
投稿: 師範手前 | 2007年4月13日 (金) 12時19分
最後の文献をみると「手術によるドレナージが関節穿刺より良いというデータはない」とありますね。いくつかの例外を除けば、毎日関節穿刺+抗菌薬でいけそうですね。
勉強になりました。
投稿: vam | 2007年4月13日 (金) 15時39分
>血流感染を起こせばよっぽどのことが無い限り早期治療になりますので関節炎になる前に治療してしまうからでないでしょうか?
■上記でご紹介したこの文献には、以下のように書いてあり、
関節炎は、すぐに起こりえるようです。
Septic Arthritis Current Treatment Options in Infectious Diseases
2003;5:337-344
In native joints, septic arthritis ususlly is caused by hematogenous seeding
from a distant focus. The synovial membrane is extremely vascular and contains no limiting basement membrane, which allows easy access of blood contents into the synoviral space.Within a few hours, activated inflammatory cells fill the closed synovial space.
Within days, cartilage destruction and irreversible subchondral bone erosion occur.
■drainageが大事な理由は、、
[Infec Dis Clin N Am 2005;19:799-817]Septic Arthritis
Cartilage is avascular, and highly dependent on diffusion of oxygen and nutrients from the synovium.
As purulent exudate accumulates, joint pressure increases, and synoviral blood flow is tamponaded, resulting in cartilage anoxia.だそうです。
>最後の文献をみると「手術によるドレナージが関節穿刺より良いというデータはない」とありますね
これに関しては、僕もあまり熱心には調べていないですが、
積極的なopen drainageが必要なときもありそうです。
■ Septic Arthritis [LANCET 1998;351:197-202]
Initial open surgical drainage is recommended in hip infections, especially in children.
子供では関節の拘縮とか機能障害を残したら大変と思いますので、、場合によってはステロイドも投与されることもあるようです。
確固たるEBMはありませんし、
自分は経験ありませんが、、
またまた長くなりました。すいません。
投稿: Kanpo-Master | 2007年4月13日 (金) 22時15分
ほうほう。参考になります。じゃ、菌血症時は常に関節炎の危険性が伴うんですね。でも関節炎時には血培は大事には変わりないですね。グラム陽性球菌が多いのはやはり皮膚からの侵入が多いからなんでしょうね。関節炎のドレナージが積極的には必要ないのは整形の先生は感覚で理解されてるんですかね?一度聞いてみます。
投稿: 師範手前 | 2007年4月14日 (土) 15時50分