今日はこんな症例が・・・肺炎です
症例 92歳男性。咳嗽の増加、痰の増量を主訴に老健から来られました。主治医は『画像を見たところ両下肺野に陰影があり、誤嚥だと思うのですが・・・』と言ってました。先週インフルエンザだったそうですが・・・。非常に膿性の強い痰でした。塗抹所見3枚と+1枚載せます。医師であればどういったコメント望みますか?検査技師(ICTでも可)であればどんなコメント返しましょう?ちなみに血清クレアチニンは1.4で体重は40kgくらいです。ABPC/SBT 1.5g/8hにて開始しました。
一応主治医には塗抹成績を詳細に電話で説明した後に抗菌薬について話あいました。
プラスα
| 固定リンク
「背景など病態把握」カテゴリの記事
- 喀痰のRejection Criteriaについて(2017.12.26)
- そうです、ただ見るだけでは無いんです(2017.04.18)
- 喀痰グラム染色を斬る その2 肺膿瘍とグラム染色像(2017.03.01)
- 喀痰グラム染色を斬る その1(2017.01.25)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
グラム陽性球菌で双球菌,ハローが見られることから肺炎球菌と推定しました.
Candidaも一緒に写っていると考えました.
弱拡大では扁平上皮細胞もあるので,唾液の混入もあると思います.
投稿: 佐藤元美 | 2007年4月17日 (火) 23時51分
所見)
扁平上皮も多いものの好中球も結構でている。
グラム陽性のクラスター、短軸方向に連なる二連菌、コリネバクテリウムの様に見える陽性桿菌、グラム陰性の小球桿菌、さらに真菌(カンジダ)などが見られる。優性は菌種は見あたらず。
判断)
誤嚥性肺炎
と普通に考えてしまいますが。
投稿: 二つ目 | 2007年4月18日 (水) 09時26分
佐藤先生
コメントありがとうございます。
グラム陽性の双球菌で肺炎球菌を疑いますとのコメントですが、ハローはしっかりと確認できる程度でしょうか?中々僕には難しいです。+αの写真を見てしまうと、肺炎球菌がいると先入観が入ってしまわないでしょうか?この場合は分けて考えてやらないといけない気もしますが、あくまで検査結果の反映のためで臨床としてはどっちでも良いという印象があるのですが、どうでしょうか?また扁平上皮が多量にあるので(膿性の強い痰にも関わらず)唾液誤嚥なのでしょう。それ以外の細胞など確認できませんか?
投稿: 師範手前 | 2007年4月18日 (水) 09時28分
二つ目さま
すいません。書き込みしているさなかに書き込まれていたので確認できていませんでした。
口腔内の常在菌?と思われる菌が多量でしかもカンジダも見えている。また、優勢の菌が見当たらないので起炎菌の判断が難しいですね。双球状の菌を安直に=肺炎球菌として良いのか?ということに悩みますね。グラム染色を始めたころは『双球菌=肺炎球菌』と思う込む日々がありましたが、みなさんはどうでしょうか?この症例に関しては、あとは画像所見と他の臨床検査所見の判断によるものになりますので腕次第ですかね。肺炎球菌の尿中抗原が陽性になっているので背景に肺炎球菌感染もあるように思います。喀痰所見のみでは判りませんよね。ファインプレーなのでしょうか?当たり前なのでしょうか?検査ばかりしているとそこらの感覚が鈍ります。どう思われますか?
投稿: 師範手前 | 2007年4月19日 (木) 19時17分
誤嚥像ですが、大きく分けて2種類存在するかと思います。今回は唾液誤嚥に伴う誤嚥性肺炎像です。進行すれば肺膿瘍になります。今回の像を見る上では基本的なこととして痰がどういう状態で採取されたか確認することが必要です。医師、看護師など採取現場の方が確認して頂くに越したことありませんが、中々確認できていないかと思います。痰の性状をカルテなどに明記することが良いことかと思います。
その上でこのように扁平上皮が混入していれば唾液誤嚥の可能性が上がり、吸引をしないといけないくらいの場合は下気道に扁平上皮が落ち込む→誤嚥像になろうかと思います。背景には上皮の周囲に白血球が入り混じった形で散在しています。今回のは白血球は核が不明瞭なものが多く、やや古い白血球と新しい白血球が存在しているのがわかります。古い白血球は核の状態、細胞質の染色状態より好中球を疑いますので、遷延した炎症像やフィブリンの析出がそんなに鮮明でないので誤嚥が多いことが伺えます。急性の場合はもう少し綺麗な白血球が多く存在することもあります。ただ、今回は貪食が認められないので、深層での炎症がそんなに盛んに行われている感じもしません。誤嚥がひどくなると貪食も見られますが、状態としては重症でないのでしょう。肺膿瘍の場合はシャープな陰性桿菌も多数出現(フソバクテリウム)し、嫌気性菌が多くなってきている像も見えることがあります。
投稿: 師範手前 | 2007年4月26日 (木) 13時17分