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2007年3月23日 (金)

どういう病態を現しているのでしょう・・・?

症例(初段)

34歳女性。本日38℃代の下腹部痛、発熱、全身倦怠感を訴えて救急来院。よくよく聞いてみると、前日に近医を受診し膀胱炎の疑いで薬を処方してもらったそうで。改善なかったようです。特に基礎疾患もなく、アレルギー歴もありません。生来健康な生活を過ごしています。

診療歴もあったのでもう一度、尿の細菌検査を実施したところこのようなスメアが確認できました。

このスメアからそういった疾患を疑いまた、推定起炎菌、投与しようとする抗菌薬と注意点について何か感じ取れますか?

ヒント

①菌の色調(濃度など)②菌の形態Photo_1 ③背景の観察

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背景など病態把握」カテゴリの記事

コメント

伸びたグラム陰性桿菌があり,白血球に貪食されているのでしょうか?すでに抗菌薬を処方されているのでしょう.

単なる膀胱炎では38℃の発熱は出ません.腎盂腎炎などを疑うわけですが,そのような所見がグラム染色で推測されるのでしょうか?血液培養はしておきたいところです.

なお,下腹部痛,発熱,全身倦怠感だけでは膀胱炎とは診断できません.頻尿・残尿感など排尿に関連した症状をもう少し詳しく聞きたいところです.女性の下腹部痛は常に妊娠を考えろ,といいますが,生殖器系の方にも注意を払いたいところです.

投稿: ID conference管理人 | 2007年3月24日 (土) 18時53分

ID conference管理人さま

鋭いコメントありがとうございます。
まさに菌の延伸が見られ且つ貪食が見られています。貪食=病原菌と判断しても良いと思われますので=起炎菌になろうかと思います。

>貪食について

いつもスメアを見ながら思っていますが、尿にて貪食のある場合は必ず発熱を伴うことがあり貪食機構により発熱も併発していると思われます。
貪食像が見える場合の考え方としては
①上行尿路の細菌感染
②膀胱炎で組織侵入性の起炎菌による感染
です。

通常膀胱炎では上皮の剥離が多く認められますが貪食は見られないそうです。浸透圧の関係とか・・・と聞いていますが正確なエビデンスは探せていません。誰か知りませんか?膀胱炎でも組織侵入のある場合は発熱があると京大のウロの先生が研究されているようです。(侵入性の尿路感染の参考文献:J Urol 157: 1127, 1997、J Urol 158: 2329-, 1997、J Infect Dis 180: 1378-、1999、J Urol 169: 1758-, 2003)

しかし殆どは①の症例ですので腎盂腎炎を強く疑い血液培養を採取することが必要です。

>菌の延伸について
通常は腎盂腎炎にて投与される汎用の抗菌薬はキノロンや3世代セフェムと思われますのでその場合は当然菌の延伸が認められます。前者はジャイレース、後者はPBPに作用するので。通常臨床医では急性腎盂腎炎としては大腸菌が多いのでそれを標的にされるかと思います。しかし、この患者の場合は成人女性で市中でのESBL産生菌が少ないことや市中感染であるのでキノロンが処方される場合も多いと思われ、本菌はキノロン耐性の大腸菌(または腸内細菌)の可能性が高いものと推測されます。なのでグラム染色所見にてキノロン→セフェムへの変更が可能かと思われるケースです。

うちの研修医もそうですが、中々下腹部痛で尿路感染が思いつかない場合もたまに散見されます。 ID conference管理人さまのおっしゃるとおり頻尿、残尿感など無かったか聞くことが必須であると思われます。妊娠や生殖器の感染症も大事ですね。
でも、クラミジアも否定することは必要なのでしょうかね? ID conference管理人さまどう思われますか?


投稿: 管理人:師範手前 | 2007年3月26日 (月) 12時26分

すいません。追加です。
腎盂腎炎の場合は円柱上皮が、膀胱炎の場合は移行上皮が回りに見られますので背景を注意して見ると良いかも知れません。また尿閉などの場合は円柱もありますので注意してみると色んな情報が得られます。

投稿: 管理人;師範手前 | 2007年3月26日 (月) 12時40分

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