これは喀痰所見です。何が考えられますか?(初級くらい)
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コメント
あまり見たことはないのですが、アクチノマイコーシスのように思います。
空洞もあるようですし、喀痰の抗酸菌検査は行っておきたいと思います。
そのほかの追加の検査等はよくわかりません、
ご教示ください・・・。
投稿: ICT医師 | 2007年3月28日 (水) 21時49分
ICT医師さま
そうです。あまり見かけないかもしれませんが、報告例は良くあります。うちでも年1人ペースで出てきます。
ヒントですがステロイドは投与されていません。
投稿: 師範手前 | 2007年3月29日 (木) 09時36分
はじめまして♪
偶々、通りかかったらおもしろそうな企画やってたので参加させて下さい。
私はグラム陽性で菌糸体形成している事と文章の内容から好気的に発育していると判断しノカルジアによるノカルジア症だと推測しました。
(あと、患者さんの趣味がガーデニングと言うのもヒントだと勝手に思いました。)
ここからはノカルジアだという前提で。
私ならまず抗酸菌検査と平行して抗酸性染色を行います。
このとき、脱色は0.5%硫酸水を使います。
次にSDAとBAに塗抹48時間以上7日培養します。
あとはST合剤処方をお願いするかな?
投稿: エミ | 2007年3月29日 (木) 22時30分
エミさま
すばらしいお答えありがとうございます。コメントから察しますが同業者の臭いがします。
そうです。菌糸体(放線状)を呈しているので好気性放線菌(ノカルジアなど)か単なる放線菌(アクチノマイセス)かどちらかになります。だた、菌の詳細を見ると菌糸の太さが大きく枝状になり、部分的に鈍角に伸びているところよりノカルジアの可能性が非常に高くなります。また、染色性がやや悪い(他のグラム陽性菌に比べてやや薄い)ことより抗酸性が示唆されます。白血球などの膿球の周囲に食い込むような様相を呈しているのでこれでほぼノカルジアと言えると思います。
エミさまのコメントの通り抗酸染色をすると良いでしょうが脱色がポイントですので皆様注意してください。
培養は3日目くらいより集落がオレンジ~褐色の色調を呈する場合もあります。同定はKMとIPMとTOBの感受性で簡易鑑別できますが、正式同定は菌体の化学解析などする場合もあります。
感受性は基準がなく当院ではMICを参考に測定します。STやMINO、EMを中心にします。βラクタマーゼ産生するのでペニシリンは耐性です。STは長期使用で副作用を生じることが多く、他の2剤が参考になります。
ちなみにエミさまのコメントにあるSDAとはサブロー寒天培地のことで真菌用の選択培地でBAとは血液寒天培地で通常私たちが非選択性に使用する培地です。
投稿: 師範手前 | 2007年3月30日 (金) 12時22分
ノカルジアは治療の選択肢が難しいように思うのですが,何をどれくらいの量,どのくらいの期間,使われたんでしょうか?
投稿: ID conference管理人 | 2007年3月31日 (土) 23時25分
ID conference管理人 さまコメントありがとうございます。
ノカルジア症の死亡率ですが(金子ら:感染症学雑誌)
肺ノカルジア:7.6-10%
脳合併症47.8-87%
ステロイド内服者が多く、45%は肺外への播種を認める(Palmerら)という報告があります。
当院の治療スケジュールはST:2-4g/日×6ヶ月になります。以前まとめたデータでは6例中4例でST中止になりMINOへの変更6ヶ月になっていました。抗菌薬服薬中止後に再発した例の報告も多く6ヶ月は必要かと思います。サンフォードガイドは免疫機能低下のない場合は3ヶ月で免疫機能低下のある場合は6ヶ月が標準と記載があります。
当院ではST中止の理由は皮疹が多く。MINOのMICが12.5μg/ml以下ならMINOでの効果があるとの報告もあります。
脳膿瘍の場合はCTRXやIPM/CSの投与例(Loffeler:Infection)の報告例があります。治療は至ってシンプルですよ。
投稿: 師範手前 | 2007年4月 2日 (月) 17時24分