2017年10月25日 (水)

グラム染色の結果が届かず書類送検

先週、インターネットをみていると下記のニュースを見ました。


「検査報告遅れで男児に障害、病院職員書類送検」

記載内容を確認していますと、血液検査でグラム陽性球菌の反応が出たので、検査の委託会社からFAXが届いていたが、主治医に届かず、抗菌薬を中止してしまい、思い脳の後遺症が残った。報告を怠ったとして検査室の責任者を書類送検。

という衝撃的な内容であった。

検査結果がFAXで届いていたが主治医に連絡が遅れたことは事実でしょうが、これで技師長だけが書類送検になるとはかなり厳しい処分である。

報道各社の内容をまとめてみましたが以下のようです。

1月31日(木)に男児が入院した。入院時に血液検査(恐らく血液培養)を採取した。
2月2日(土)に血液検査が陽性反応(恐らく血液培養陽性)となり、グラム陽性球菌が陽性(恐らく、グラム染色をして陽性球菌)が確認された。
検査を請け負っていた検査会社はFAXでこの病院の検査室へグラム染色所見について報告をしたが、主治医には届いておらず、主治医は別の疾患を疑い抗生剤を終了した。結果的にこの患者は髄膜炎を発症して後遺症が残った。

当時の状況を全て見ている訳でありませんが、これは「検査報告」という一つの病院システムのエラーで生じた事例であり、検査室は報告を適切に出来なかったのかもしれませんが、

・提出した医師は検査結果の確認をしっかりと行っていたのか?
・病棟も検査結果が順次返ってきているのか確認をしていたのか?
・検査結果が最終となっていないのに、何故抗生剤を中止することになったのか?
・髄膜炎であれば入院時に髄液穿刺をして検査をしていなかったのか?なぜそこがクローズアップされていないのか?
・500床規模の病院ですが、血液培養という重要な検査が何故外部委託で運用されているのか?
・そもそも土日も含め時間外に主治医は在籍していたのか?
・技師長だけ処罰を受け、検査担当医や病院管理者、主治医および主治医の診療科長も処罰の対象になっていない。

など、色々な疑問を多く感じます。

最終的に業務内容の改善をしたため再発防止に努めているとのことです。これは患者にとってはありがたいことです。

皆さんの病院ではどうですか?

上記の内容で気になる点があります。

・血液培養が外部委託であれば、細菌検査は全外注の可能性が高い。そのため、検査室で働く職員は、検査結果の重要性について意識が薄れている可能性がある。結局、その結果、FAX連絡が主治医に直ぐに伝わらなかった可能性がある。
・FAXが来たとして、主治医がその時間に在籍するのか?当番医であればその医師に報告が行くようにできていたのか? 普通は特別な指示が無ければ提出医のみしか連絡をしない。

・病院で働いていたのは正規職員なのか?委託職員なのか? 職員はFAXで来た内容を仕分けして急ぐものは至急で報告することを業務内容として認識していたのであろうか。

・グラム陽性球菌の反応陽性。そもそも肺炎球菌だろうと思うが、肺炎球菌かどうかグラム染色所見で確認ができただろうに。コメントでフォローしたり、GPC chainという所見だけでも十分違う内容だったのでは無いか。子供の市中感染でGPCなんだから肺炎球菌か黄色ブドウ球菌なんでしょう。


Cbc 血液培養の肺炎球菌
Mssa2 血液培養の黄色ブドウ球菌
所見が全然違いますよね。

外部委託が悪い訳では無い。外部委託でもシステムを組めば院内実施と同様の質が担保されることも多い。院内実施でも、細菌検査がイケてないのであれば同様のことは生じる。細菌検査を重要視しない医療機関は多く、直ぐに費用対効果という観点でそこそこ規模が大きな病院であっても外部委託に頼っている施設も多い。総合病院で救急もあれば細菌検査は院内で実施して欲しいと思う。何度も言うが、質の高い検査を保つのであれば、それは外部委託業者が入ってでも良いと考える。ただし、自前と院内委託との違いは指示命令体系が異なり、院内委託の方が業務上の制限がかかることが多いことである。この問題を解消すれば良いのであるが、こういう施設の多くは感染症には関心が無い医師が多いので問題提議すらできていないことも問題である。

感染管理加算が2012年から算定できるようになり、来年で6年目になる。要件の一つとして在籍3年目以上の臨床検査技師を専任で置くようにということが要件になっていると思う。専任とは最低50%以上の業務をしている(解釈によって少々異なります)とあるが、1週間で半分では無く、一日の半分を院内感染対策に従事し、かつ1週間で50%以上であることが条件と思われる。当然ですが細菌検査室で培地を塗っている時間はこの50%以上には入らないので、細菌検査室の外で活動していることが条件になる。恐らく、細菌検査室を有する病院でもこの条件を保持できている病院は多くないと思うし、細菌検査室が無い病院の場合はもっと条件に満たないのでは無いか。さらに、感染管理室に臨床検査技師の机すらないのが現状ではないだろうか。

こういう判例は、マイナスイメージが強いが、この機会に自院の対応について深く考えさせられるものである。

感染管理に従事する臨床検査技師がいるのであれば、耐性菌の検出状況や病棟別材料別菌発生状況(週報)以外にも、

・血液培養の複数セット採取率は90%以上を維持している
・血液培養は1000ベッド当たり20を超えて採取している
・グラム染色所見は当日のうちに報告している
・適切な材料が採取されたかどうかの確認を随時おこなっている(喀痰の外観管理やゲクラー分類など)
・血液培養検査は院内で実施していることを条件に盛り込む
・土日など外来休業日に細菌検査室を稼働した場合は加点する
など、院内で保護してくれる医療従事者が少ない場合はせめて保険点数上で保護して頂きたいと思う。

10年後には

細菌検査はお金掛かるんでしょう?
細菌検査は解釈が難しいから院内では・・・?
という声がなくなってくれることを願っています。
過去の訴訟事例
・血液培養陽性例でMRSA陽性の報告遅れて損害賠償
・便のグラム染色でMRSAを見落とし報告の遅れ
(便のグラム染色像で黄色ブドウ球菌って、無理な話ですね。)

| | コメント (0)

2017年10月19日 (木)

グラム染色カンファレンス in 岐阜

下記のカンファレンスは、募集開始から4時間余りで定員に達しました。多数ご応募ありがとうございました。


-----------------------------------------------------


微生物学会に併せて、毎年グラム染色カンファレンスを勝手に企画しております。

今回も岐阜で開催をする予定です。
昨日から申込を開始しましたので告知します。

・日 時:2018年2月9日(金)19:00~21:00 (受付開始18:30~ )

・場 所:「旬菜 clover dining」

・参加料:5,000円(飲食代込み)

・募集人数:70名

・症例提示

1 タイトル未定
杏林大学医学部附属病院・米谷 正太

2 タイトル未定
日本医科大学付属病院・根井貴仁

3 タイトル未定
西神戸医療センター 臨床検査技術部 山本 剛

今年も表紙に正解が隠れてますが全員が外れる問題を出します。

20170120_194320 去年の模様です。

| | コメント (0)

2017年10月18日 (水)

グラム染色所見を用いたグラム陰性桿菌の菌種推定

月刊化となっていますグラム染色道場。本当に申し訳ありません。

ブログに書けない内容はfacebookやJ-IDEOにも書いていますので、一緒にご覧ください。

facebook:https://www.facebook.com/GramStainGym/
さて、表題にも示したように「グラム陰性桿菌の菌種推定」は本当にできるのか考えものです。教科書や参考書を見ると、グラム陰性桿菌は”短い”とか”長い”とか、”湾曲ている”とか”直線状”とか、目を凝らして見ないと区別が無理なんじゃないかと思うものばかりです。

先日、クラコソグランプリで出ていたので思わずネタを作ってFBに流したところ44,000人に読まれるといった盛況ぶりで本人もびっくりです。

Photo

本当にこち亀の中川さんが困るくらい似ていて区別がつくのかつかないのか悩みます。
最後にもありますが、緑膿菌と大腸菌が容易に区別できれば、本当に良いですよね。

大腸菌は直線的で柵状のものが多く見え、緑膿菌は湾曲したものが混じり、フィラメント化のものや細い感じのものがありますので、良く見るとその違いが分かります。

ただし、緑膿菌の中には大腸菌にそっくりさんがいて、私達を惑わせます。

ただ、緑膿菌が出そうな人はどういう人か?と意識してみていくと、太い緑膿菌であっても、単純に「あ、大腸菌かな」では無く、「緑膿菌の可能性あるよな。」に変わることでしょう。
Clinical pearlとして

「細く見えると緑膿菌の可能性が高い」→抗緑膿菌作用の抗生剤を検討
2_2 典型的な細みのある湾曲の菌体

「太く見えるのに大腸菌の可能性があるが、一部緑膿菌のこともある」→患者背景を見ながら抗緑膿菌作用の抗生剤にするか検討
全て抗緑膿菌作用の抗生剤で開始する方法もあるのですが、折角グラム染色をしているだから所見を無駄にしたくないですね。

緑膿菌がでそうな人とは
・入院期間が14日を超えている人
・慢性気道感染症などもともと緑膿菌の既往がある人
・抗生剤の曝露歴が頻回にある人

他にもあるでしょうがコモンで遭遇するのは多くがこのような人では無いでしょうか。
また、太い緑膿菌に遭遇するのは

・尿から出た緑膿菌
Photo_2

・バイオフィルムたっぷりの緑膿菌
2

・乾きが悪い血液培養陽性の緑膿菌
23

いずれにせよ、日頃からの鍛錬が必要ですね。

| | コメント (0)

2017年9月13日 (水)

みなさん感染防止対策加算の連携カンファレンスのネタに困りませんか?

平成24年から感染防止対策加算の取得条件には年4回のカンファレンスがあります。今年は平成29年ですので、開始して5年目です。もう20回くらいのカンファレンスをしていることになりますので、皆さんの施設でもそろそろネタがつきてきたかもしれません。

皆さんはネタをどのように探していますか?

昔、このブログを感染委員会にそのまま出している施設があると聞きましたが、こういう院内感染ネタはこのブログではなく、厚労省で一元化して紹介して欲しいですよね。
今回はこんなネタ提供です。

AMRアクションプランが示されて1年以上経過がしました。IDSAのASPガイドラインにはじまり、本年は抗微生物薬適正使用ガイドラインと8学会合同の適正使用に向けたガイダンスも出てきました。活字ばかりなので手軽に読むには抵抗がありますよね。

9

抗菌薬適正使用のためのガイダンス:http://www.kansensho.or.jp/guidelines/pdf/1708_ASP_guidance.pdf

先日のカンファレンスではこのAMRネタから耐性菌のデータと血液培養の重要性について話をしました。1連の流れですね。

血液培養は重要なのは知っていますが、院内でしていないし、結果解釈に困るし、そもそもどのタイミングで採血したら良いのか分かりにくい、職員に教育するにも自分が熟知していないので自信が無いなど、院内で血液培養検査を実施してなければ中々十分な介入ができないのが現状です。だって、院内実施していても十分で無い施設も多いのですから。

抗生剤が要らない施設が無いように、血液培養が要らない施設は無いのです。

とりあえず、施設間の比較をするために適切な採取ができるか検証をしなければなりません。あまり複雑なパラメータを比較しても良くないので、最低①1000患者当たりの採取セット数と②2セット採取率を比較することは良いかと思います。抗菌薬で言えばAUDを比較するみたいなものですかね。

28

①は延べ入院患者数と血液培養のセット数(2セット採取でも1回なら1セットで換算)が分かれば十分です。延べ入院患者数は自院の医事統計で調べてください。もしくは病床数に30をかけて、90%をかけると90%の稼働率としての延べ入院患者数が概算できます。

=総セット数÷延べ入院患者数×1000

②は血液培養の総セット数と2セット採取数が分かれば十分です。

=2セット採取数÷総セット数×100

今年の当院は①が32.7、②が90%でした。

おそらく、自院で血液培養をしている施設とそうでない施設の開きは大きいと思います。
うちは慢性期なので血液培養の対象患者が少ないんですよとか、救急患者があまり居ないので陽性になりそうな患者が居ないんですよ、という話も聞きますが、腎盂腎炎の患者も少ないのでしょうか、肺炎患者も少ないのでしょうか。腎盂腎炎や肺炎などは高齢者の感染症に当たり前のようについてくるので必要でしょうし、ルートキープ出来ない場合はCVも作るので余計に血液培養は重要になってくると思います。何度も言いますが、「抗生剤が要らない施設が無いように、血液培養が要らない施設は無いのです。」

血液培養の報告には色々とオプションがつけれますが、それを知らない医師も多いのが現状です。グラム染色の結果が直ぐに貰えるのも知らないし、グラム染色の結果で抗生剤の処方内容が劇的に変わるということも知る機会が無いのかもしれません。

グラム染色結果を参考に不明熱と思われている患者の身体所見を取り直しているとわかることも出てきます。菌体の特徴を掴み、菌種推定をして臨床症状と照合しながら感染症の原因臓器を特定して、それに併せた抗生剤を処方することこそ、ASPに必要で簡単なアクションになるかもしれません。最終的には同定・感受性結果がDefinitiveには必要ですが、それ以前に抗生剤を絞り込むことができる場合もあります。

Gas2 血液培養のS. pyogenes(A群溶連菌)

連鎖が長いのが特徴。ボトルは溶血し、皮膚軟部組織感染症を疑うとなればカルバペネムでなくペニシリン(PCGやABPC)で対応可能かもしれません。

S_mitis_gordonii3 血液培養のS. mitis(Viridans streptococci)

連鎖が長いのが特徴。ボトルは褐色に混濁し、心雑音があれば感染性心内膜炎を疑ったたり、ケモ中で粘膜障害があれば発熱性好中球減少症の原因が菌血症であることがわかるかもしれません。Viridansはペニシリン耐性、セフェム耐性菌が問題になるので、感受性がわかるまでペニシリンやセフェムにVCMを加えても良いかもしれません。CFPMも万能ではありませんので。感染性心内膜炎ならPCGのMICによってはアミノグリコシドを併用しないとダメかもしれません。

2 血液培養のE. faecalis

連鎖が短いのが特徴。泌尿器や消化器に何らか感染症のフォーカスがあればこの菌である可能性が出て来る。Enterococcusはセフェムが無効ですが、E. faecalisならペニシリン、E. faeciumならVCMが第一選択になります。菌種不明であれば併用またはVCMによる初期治療開始になります。

検査室も外部委託していてもその情報はfaxか何かで届くのですから、そこからのアクションは非常に大切です。

Gpc

安易な発想で申し訳ありませんが、アルゴリズムを書き出してみました。これが正解ということではありません、一応こういうことでグラム染色は使えそうですという一例です。ある程度の幅を持って見ていくことが大切です。

出てきた菌を少し解釈しながら報告に活かすのは検査室の大きな役割であり、ASには必要です。そのためにも血液培養の採取状況を比較し合うのは重要な感染対策の一つでは無いでしょうか。

| | コメント (0)

2017年8月28日 (月)

細菌検査室はAMR活動に必要なのは明確なことである

臨床検査技師以外の方は読んでもピンと来ないかもしれません。すいません。

先日からセミナーや研修会やらと参加していますが、勉強会をするたびに出てくる言葉は「微生物検査室はAMR活動から取り残されそうである。」という話題がある。

先日8学会合同で抗菌薬適正使用のためのガイダンスが出ていますが、あまり微生物検査について言及されているものがありません。血液培養2セットが必要とか、感受性はMICを測定してその評価に当てましょうとか、バイオマーカーを有効活用しようとか。。。そもそも、このガイダンスは最初ガイドラインだったのですが、初期作成段階で臨床検査技師がメンバーに入っていなかったこともあり、抗菌薬適正使用について記載内容が現在の細菌検査の現状を反映していないことが一つの要因と思う。しかし、記載されないことは、それだけで済まれることでは無いと考えることができないだろうか?

もともと、今回は外国で作成されたガイドラインを日本語訳にして類似のガイドラインを作っているのだから、日本の現状に合わないのは皆さんご存知の通りだが、部分的には共通している話題もある。

Photo 8学会合同で発表されたガイダンス
http://www.kansensho.or.jp/guidelines/pdf/1708_ASP_guidance.pdf

IDSAのガイドラインでは質量分析を使用しても抗菌薬適正使用のために直ぐに繋がるものでは無いとか、培養検査の意義はどれだけあるのかとぼんやりしか書いていない。グラム染色を用いた診療が日本では進んでいるが、記載が無い。このガイドラインを参考にした場合には、AMR活動において細菌検査室には何ができるのか?と思わざるを得ないと考える。

細菌検査室が行っている業務には菌を分離して報告をするのが最低限行えることであるが、これは当たり前のことである。この作業は細菌検査室がしなくて誰がするのか?と考えると必然的に答えがでてくる訳である。

検体採取の指示は誰がするのか?ですが、それは医師です。もしくは一部看護師さんが医師にお願いしてしていることがある。医師以外は検査処方権が無いからである。

結果の解釈は誰がするのか?

・菌の臨床的意義付けをするのは医師か臨床検査技師
・感受性の結果から抗生剤を選択するのは医師か薬剤師

果たして今の状況でどの施設も臨床検査技師が検出菌の意義付けを話できるのかという疑問がある。認定臨床微生物検査技師であればその意義付けはできるだろうが、微生物に対しての知識が無い場合は到底無理である。そういう状況が今回のAMRから少し外れているのかもしれない。菌のことでテレビやラジオなどメディアに臨床検査技師が登場することはあまりないことも国民の認知度が低い原因の一つかもしれない。分離した菌の同定をするのが臨床検査技師であれば、国民へのメッセージも臨床検査技師が行うべきであると良く思う。

例えば、菌の臨床的意義付けをする場合は対象臓器に影響の強い菌かどうかが肝心である。一番特徴的なのが大腸菌の尿路感染症である。尿から大腸菌が大量に出ていて、発熱があれば急性腎盂腎炎を疑うため、抗生剤の投与を行うので、感受性に見合った抗生剤の選択をしなければならない。尿を出して、グラム染色でGNRが多数見えると、「ああ、大腸菌かな」と思う訳で、GNRの臨床的意義付けが行われる。そこには臨床検査技師がどの程度役立っているのか明確でものはない。

翌日発育して大腸菌だろうと思われるコロニーが生えてくる。まあ、細菌検査をはじめて1ヶ月もあれば大腸菌のコロニーなどは見分けがつくわけである。推定菌を返さないまでも、GNRの選択培地に発育するのでグラム陰性桿菌であることは明確である。そこにも臨床検査技師がどれだけ役に立っているのか明確なものはない。

Mac_e_coli GNRしか生えない培地(マッコンキー寒天培地)に赤色コロニー。当たり前だが腸内細菌群と言えない臨床検査技師は居ないと思う。

さらに次の日には感受性検査結果が出てくるが、検出菌が大腸菌でCTX耐性、CAZ耐性、LVFX耐性、CMZ感受性となれば、ESBL産生大腸菌の可能性が高くなります。大腸菌のESBL産生菌は、今や市中で分離される大腸菌のうち2-3割を占めている菌です。安易にCTRX投与、LVFX投与とすると足元をすくわれかねない内容です。結果はLISで飛んで画面で確認ができる。それを医師や薬剤師が見て抗生剤の変更を行う。ここにも大腸菌ESBL産生菌の検出が直接治療にどの程度結び着き、臨床検査技師がどれだけ役に立っているのか明確なものはない。

そうです。臨床検査技師がしている普段から仕事はAMR活動には欠かせない存在なのですが、いつしかAMRには必要なの?と思われる仕事に変わっているのです。確かに、臨床検査技師がベッドサイドに赴き、結果について医師や薬剤師に説明したりする機会は少ないので、尚更検査結果について顔が見えるものでは無いのである。役に立っているのかでは無く、役立てれるものに検査結果を臨床検査技師が使えているのかどうかである。昔から菌を分離して診断や治療に貢献してきた、院内感染対策に貢献してきた歴史は長いので自覚をもってやれば良いのです。

積極的に気になる検査結果は医師に報告をする。耐性菌であれば感受性の抗生剤について提示を行う。変更するかどうかは医師が決定するのであり、検査結果に基づいた処方提案をすることは別に間違ったことではないと思う。

ただし、耐性菌については機序などは知っていても、抗生剤に対しての知識はそこまで長けてないのが現在の問題点である。分からないのであれば薬剤師と相談して処方提案をより確実なものにすれば良いだろうし、起炎菌でない可能性があれば処方変更する場合に疑義を言えば良いのだから。感染症を専門にしている医師で無ければ、菌の病原性に基づいた抗生剤処方はハードルが高すぎることであり、そこに医師と薬剤師と臨床検査技師の立ち位置が自ずから決まってくるのでは無いかと思う。

培地に生えた菌は全て病原菌ではない。
培地に生えないけど病原菌はそこにある。

細菌検査は培地というツールを上手に使いながら、いかに病原菌を栽培し、目に見える形にするのか。また、生えた菌が必要なものか、不要なもので退治が必要なのか、しっかりと臨床的意義を考えながら結果を報告していくことは本当に必要な時代になったと言える。

そういう意味で、グラム染色の結果をより具体的に行うことはAMRに繋がると思う。
皆さん、やれること、気付いたことは言葉に起こし、suggestしていきましょう。

尿から分離された大腸菌のグラム染色所見

3 尿に見える大腸菌(孤立した菌が多く、中型で辺縁がやや丸い)

これをみて、どういう疾患が考えられるのか、感受性率はどうなっているのか、頭に浮かべながら見ていく習慣をつけていくと良いと思います。

尿検体の場合は

・腎盂腎炎なのか?(実質臓器感染なのか)
・膀胱炎なのか?(管腔臓器感染なのか)
・男性なら前立腺炎なのか?(尿路感染症と違い抗生剤の投与期間が違う)
・そもそも無症候性細菌尿なのか(抗生剤処方が必要なのは妊婦と泌尿器手術前のみ)

を類推していく必要があります。

ESBLであれば検出時に使用抗生剤をチェックして耐性の抗生剤であれば報告をする。

| | コメント (0)

«今年もしますEBICセミナー in Kobe 2017