2017年7月 7日 (金)

【ご案内】第28回神戸グラム染色カンファレンス開催 7/13

 神戸では年に3回のペースでグラム染色をテーマに感染症診断・治療に関するカンファレンスを開催しています。グラム染色から切り込んで得られる情報をもとに感染症診療をどう進めていくのか、医師、臨床検査技師、薬剤師のそれぞれの立場から学んでいく会です。参加者はテーブルディスカッションを通して活発に討議を行う新しいタイプのカンファレンスです。お時間のある方はご参加宜しくお願いします。

日時:平成29年7月13日(木) 18:50~21:00頃

場所:三宮研修センター(神戸市中央区八幡通4-2-12)

参加費:500円
一般演題
1.「肺気腫の既往のある80歳男性の肺炎」
明石医療センター総合内科 水木真平先生、検査科 森下絵梨先生
2.「人を惑わせる宝石」
大阪急性期・総合医療センター総合内科 中島隆弘先生
(追加発言)
神戸市立西神戸医療センター臨床検査技術部 山本剛先生
どんな症例が出てくるんでしょうかね。非常に楽しみです。
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2017年7月 1日 (土)

沖縄県臨床微生物研究会にお邪魔しました

先週の土曜日(24日)に沖縄県で講演する機会を頂き行って参りました。

人生2回目の沖縄でちょっぴりレジャー気分。
沖縄は神戸から飛行機で1本。最近はLCC路線が繋がり安くて6000円程度で行けます。なんとリーズナブルな時代なんでしょう。

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神戸は20℃前後、しかし那覇は35℃近く。梅雨明けでもう真夏でした。

沖縄で時間ができたので、何かしておきたいと思い「沖縄そば打ち体験」をしました。
読谷村のバアバに怒られつつようやくできた沖縄そば。太麺で頂きました。

お昼を済ませ会場に行き講演開始です。

いつもは20~30人程度の研究会ですが、60名を超える方に来ていただきました。
臨床検査技師以外にも医師や研修医、看護師、薬剤師と多職種の方が来ていたそうです。

1498558003163 会場は熱気むんむん。


グラム染色の聖地ですので生半可なことを言えませんので教科書には書いてないこと、授業では習う機会の無かった内容を中心に話しました。

グラム染色には限界があり、染まらない菌、染まっても細胞の区別は分離困難であることについて話しました。

16 マイコプラズマは細胞壁が無いので染まりません。


しかし、何もなければマイコプラズマも鑑別すべき微生物の一つになります。

教科書に書いていない内容では、毎回させて頂いている喀痰の成因と喀痰グラム染色の対比の話をしましたが、染色像のバックグラウンドをもとに起炎菌を推定していく話をしました。

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時間が無かったのですが、尿と膿についても少し加えました。ちょっと前に大阪でしたものと同じです。

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膿尿に始まり、膿尿に終わる尿路感染症のグラム染色。

膿尿にも奥深い意味が隠されています。少しだけ紹介しました。

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膿は全ての菌が培養でフォローできている訳では無いのでどういった菌がどの程度いるのか確認をすることが大切である。脳膿瘍についてはどういう菌が見えているかで成因が変わるので、感染源を特定する上でグラム染色は有用ですという話をしました。

最後は心構えです。見る前にしっておくとより理解が深まります。

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夜は懇親会をして頂きました。

沖縄の熱い、暑い夜は非常に楽しかったです。
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翌日は沖縄のナイス・ガイ2人に美ら海水族館まで連れて行ってもらいました。感激。
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念願のサニーゴもゲットです。

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本当に沖縄の方々にはお世話になりました。お話できてないことは沢山ありますが、患者さんを中心にしてグラム染色像の確認を続けていってもらい、「ん?これいつもと違うな。」という感覚があれば、是非主治医とディスカッションをしてください。色々なものが見えてくると思います。

また話する機会があれば宜しくお願いします。

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2017年6月 9日 (金)

今後の予定 2017年6月以降

定期的に今後の予定についてお知らせしています。

ご興味のある方は聞きに来てください。
1.大阪府臨床検査技師会 微生物検査部門定期講習会
http://www.osaka-amt.or.jp/cgi-bin/sche/sche35.cgi?cm=1
日時:2017年6月22日(木) 18:30~20:00
場所;大阪医療技術学園専門学校
テーマ:「ケーススタディー方式で学ぶグラム染色の見方・考え方」~尿とか膿汁とか~
備考:去年の喀痰の続きです。
2.第194回沖縄臨床微生物研究会
日時:2017年6月24日(土) 16:00~18:00
場所:那覇市立病院 3階講堂
テーマ:「明日の診療から使えるグラム染色読解術~もう菌(あなた)はチェックメイトされています~」
備考:どうして、その菌と言い切れるのか?病態を含めて理詰めでグラム染色像の読解術について紹介します。
3.第1回 耳原総合病院 GP+1セミナー(医師対象)
日時:2017年7月30日(日) 10:00~16:30
場所;耳原総合病院
4.第24回日本臨床微生物学会教育セミナー(募集は終了しています)
日時:2017年8月19日(土)~20日(日)
場所:神戸市立医療センター中央市民病院講堂
5.EBICセミナー in 神戸
http://www.ebic.jp/news/2017se2-in-kobe-2.html
日時:2017年9月2日(土)
場所:神戸大学医学部シスメックス会館
備考:毎年恒例のCLSIの話+岩田先生の講義 私はグラム染色の話。
7.その他
東北地区の研究会(9月予定)
中部地区の研修会(11月予定)
毎年恒例のグラム染色カンファレンス(第29回日本臨床微生物学会に併せて;場所は名古屋駅前)

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2017年6月 7日 (水)

【速報】「第1回薬剤耐性(AMR)対策普及啓発活動表彰」における 優良事例の表彰決定!

「第1回薬剤耐性(AMR)対策普及啓発活動表彰」における 優良事例の表彰決定しました。

http://www.cas.go.jp/jp/houdou/170607-1amr.html

M医院のM先生が、グラム染色を用いた診療支援について厚生労働大臣賞を受けることになりました。おめでとうございます。M先生とはこのブログがきっかけで知り合うことができました。グラム染色道場バンザイ。

M先生は日常診療の中でグラム染色を診療の第一線で使用し、診療内容と治療、患者への情報提供を行い、服薬指導に活かされています。

Photo_2 去年のテレビ番組より

グラム染色がAMR活動に無くてはならないものであることが証明されたと思います。
画期的な検査技術でもありませんし、高い検査機器も必要ありません。保険点数は61点。
Photo_5 10分程度で行える簡単な検査です。

Photo_4 色を青と赤に染め分けて菌種推定をします。

少し判読の技術が必要ですが、どこでも簡単にできて、菌と炎症所見が同時にわかる検査です。臨床検査の多くが菌のみを検出する仕事が多いのですが、グラム染色は炎症所見も読み取れることが大きなメリットです。細菌感染が起これば病巣に多核白血球が集まります。白血球と一緒に見える菌が起炎菌である可能性があります。

400 尿路感染症を起こしている大腸菌。

本当に最近、テレビでグラム染色を見る機会が増えました。たまに某放送局の総合内科をテーマにしたテレビ番組にもお手伝いする機会が増えましたし、動物愛好家の情報雑誌にも取り上げて頂きました。

Photo_6 某テレビ番組

18194760_1319115088169696_2166647_2 某情報誌

本当に、日常コツコツと行っている仕事について表彰を受けるというのはモチベーション上がりますね。明日からも頑張っていきたいです。

本当にブログ続けてて良かったと思います。グラム染色バンザイ。

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2017年6月 2日 (金)

これは重症肺炎か? その2

先日の続きです。
これは重症肺炎か? その1 http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2017/05/post-8a8a.html

肺炎球菌が単一で多く出ているので、喀痰グラム染色所見だけ見ていると「あ、状態悪いんかな?」って思ってしまいがちです。

肺炎もそうですが、起炎菌らしきものが出ているが、それが起炎菌として扱うのか?また、重症感があるのか?、放置すれば致死的ダメージを受けるのか?など喀痰グラム染色だけでは十分に分かりません。

確かに生来健康な30代男性の肺炎と、80代男性でコントロールできていない糖尿病を基礎疾患に持ち血小板数が5.0万/μLの患者とは大きな違いがあると思います。

「木を見て森を見ず」という故事がありますが、まさに検査室だけで見ていると患者さんがあたかも重症であると見間違えてしましそうです。

検査室でもその見えた肺炎球菌の報告がどれだけ有用かはカルテを読みながら、医師と話をしながら考えていくことが必要だと思います。じゃ、何を見るかです。少し整理していきましょう。

1.そもそも肺炎なのか?
そもそも、見えた菌が肺炎を起こしているのかどうかです。
肺炎は肺炎のリスクを抱えた患者で成立します。例えば、粘膜障害があるのか、誤嚥のリスクが高いのか、免疫状態はどうかなどです。肺炎球菌は上気道に常在する肺炎球菌が肺胞まで落ち込み、肺炎を発症することが知られています。そのため、誤嚥のリスクの高い患者さんで、粘膜障害を伴う場合には肺炎になりやすいことが知られています(インフルエンザ罹患後の高齢者肺炎など)。また、莢膜を形成するので脾臓が無いなど液性免疫が低下している患者さんに多くなります。胸部Xpに陰影が無い肺炎がどの程度存在するか、呼吸数の増加や痰の出現、呼吸音、血圧や発熱などのバイタルサインなど肺炎に特徴的な症状が伴っているのかなどの情報を入手することが大切です。
先日の症例では、糖尿病治療中で、気道症状があり、左背部下肺でcoarse crackleを認め、胸部Xpにて左下肺野にすりガラス影あり、喀痰が出ているので肺炎の可能性はあります。

2.重症なのか?
重症度分類には色々なスコアを用いて客観的に肺炎の重症度を評価できるものがあります。A-DROPやCURB-65などを良く見かけます。

1)A-DROP
年齢とBUN、SpO2、意識障害、血圧を組み合わせて評価する方法です。呼吸器病学会の成人市中肺炎のガイドラインでも紹介されています。http://asunorinsho.aichi-hkn.jp/wp-content/uploads/2015/08/2007_1901_061.pdf

・男性70歳以上、女性75歳以上
・BUN 21mg/ml以上、または脱水がある
・SpO2 90%以下(PaO2 60torr以下)
・意識障害あり
・血圧(収縮期) 90mmHg以下
上記の1項目があれば1点加算する方法で、最大5点。

・男性70歳以上、女性75歳以上        ○
・BUN 21mg/ml以上、または脱水がある  ☓
・SpO2 90%以下(PaO2 60torr以下)   ☓
・意識障害あり                  ☓
・血圧(収縮期) 90mmHg以下        ☓

先日の症例では、1点となり、肺炎であれば外来加療となります。死亡率がかなり低いので外来治療を推奨するとのこと。

2)CURB-65
Curculation、Urea、Respiratory rate(呼吸数)、Blood pressure(血圧)および65歳以上が指標になります。先日の症例についてA-DROPと同じように考えると。

・Curculation;意識障害や見当識障害がある       ☓
・Urea;BUN>7mmol/L                     ☓
・呼吸数;≧30回/分                      ☓
・血圧(収縮期);<90mmHg、または拡張期≦60mmHg ☓
・年齢;65歳以上                                                   ○

1点のGroup1となり、自宅治療か外来治療かになります。

3.その菌は肺炎を起こす菌なのか?
肺炎球菌は市中肺炎の原因菌で最も多い起炎菌ですので、膿性痰で白血球有意、グラム陽性双球菌で莢膜が見られた場合は肺炎球菌MAXですので、そういう場合は肺炎の原因菌として可能性もMAXなので、コメントに付記しましょう。出来れば推定菌としてグラム染色所見にコメントを加えましょう。

莢膜は抜けて見えるものばかりではなく、菌体周囲が赤いものがあります。

Photo

それは翌日ムコイドタイプの肺炎球菌が発育します。肺炎球菌は自己融解を起こします。自己融解酵素は人体に有害であり、肺炎を悪化させたり菌の増殖能力を高めます。そのため、翌日培養で確認されない場合、菌量が十分に採取できないことも多く、グラム染色所見で肺炎球菌の確認ができたことを伝えるのは大切と思っています。

4.今後治療はどうなるのか?
治療期間は通常の健常成人の場合は解熱後3日間、菌血症がある場合は10~14日間必要です。また、髄膜炎があれば更に長くなるし、基礎疾患によって内容が変わることがあります。

肺炎球菌はペニシリンが第一選択です。また、β-ラクタマーゼを産生しません。そのため、確定(推定)診断時にはSBTやTAZといったβ-ラクタマーゼ阻害薬は不必要です。
ただし、empricに投与する抗生剤を選択する場合は混合感染にも十分注意が必要です。例えば、インフルエンザ後の肺炎で肺炎球菌は多いですが、S. aureusも多いことが知られています。S. aureusは肺炎球菌とは異なり、β-ラクタマーゼ産生菌があります。そういう場合はSBTやTAZの効果は期待できます。肺炎球菌とは違いますが、H. influenzaeが共感染を起こすことがあります。こういう情報は微生物検査室にあります。感受性検査結果や耐性機序の説明については微生物検査室が率先して行わなければいけません。

Nhcap2肺炎球菌とH. influenzaeの共感染

結局、架空のこの症例は肺炎球菌による肺炎で、菌は沢山見えましたが、重症では無く外来加療できると判断され、AMPCの処方となりました。ただし、PKPD理論ではTime above MIC(TAM)が40%を超える投与量が必要です。日本のAMPCは250mgが主体、そのためCVA/AMPC(375mg:CVA125mgとAMPC250mg)を追加して、AMPC量を1回500mgまで増やし、なおかつ3回投与/日(腎機能正常時)をすることが大切です。そうするとTAMは40%以上となり、肺炎の治療には十分外来で対応できる量となります。こういう話は薬剤師さんとすると本当に勉強になります。

direct smearだけではCVAを外すことが困難なこともありますが、培養結果で肺炎球菌単独であればCVAは無く、AMPC500mgを1日3回服用でも十分に対応できます。

たまに、臨床検査技師はそこまで関与しなくても良いのでは無いか?と言われることがありますが、AMRを行う上で臨床検査技師の役割は十分にあり、関与をしていく必要があると考えます。グラム染色は安くて大きなパフォーマンスを生む検査です。頑張ってやっていきましょう。

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