2017年8月 8日 (火)

耳原GP+1セミナー体験記

7月30日に大阪の耳原総合病院でGP+1セミナー感染症編が開催されお話する機会を頂きました。

20170730_093931 キレイな病院ですね。

今年、耳原総合病院には総合内科に、あの藤本卓司先生が赴任され一層厚みのある診療が行われているようです。藤本先生と言えば感染症レジデントマニュアルの著者であり、グラム染色所見を感染症診療の一つとして、初学者向けに分かりやすく、またポケットサイズの参考書を作られています。http://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=81168

個人的には藤本先生とは感染管理のお仕事でご一緒させて頂いた15年程度のお付き合いがあり、今回呼んで頂きました。この研究会で学んだ内容は数知れず。http://www.kipn.net/index.htm
当日は、私のグラム染色・培養検査の話と
・埼玉医大 岡先生の感染症プラチナ特講 (感染症プラチナマニュアル:https://www.medsi.co.jp/books/products/detail.php?product_id=3556

・滋賀医大ベストティーチャー賞長尾先生の胸部画像のお話 (やさしい呼吸器教室:http://tnagao.sblo.jp/

・耳原総合病院の藤本先生の身体所見のお話

+総合内科の河村先生より感染症・身体所見クイズ

と盛り沢山の内容でした。

こんな講師陣の中に混じって良いのかと少し感激しながら参加しました。
当日は声を掛けて頂いた藤本先生はじめ、耳原総合病院のスタッフ(特に医局課長の川畑様)の皆様ありがとうございました。

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募集人数が50名でしたが、当日は研修医や専攻医中心に100名近く参加されており、中にも学生が何人が居られました。

20170730_100359 熱気ムンムンです。

当日は微生物が苦手な受講生も多いと思い、かなりベーシックな内容からGP+1だけに、+1として同定・感受性が終わるまでに推測できるものについて話をしました。

微生物検査は原因菌の特定に必要な検査であり、その内容を深読みすることは臨床推論を行う上でかなりのアドバンスであると思います。

特にグラム染色所見を用いた感染症診療については、患者さんが来て主座がわかればそこの材料を採取、染めて抗生剤を絞るとなんと簡便な方法なんでしょうか。しかも炎症の状態も目の当たりにできます。

培養検査はグラム染色の欠点を補うことができる検査です。グラム染色より感度が良いので、グラム染色では確認が出来なかった菌について考察することができます。また、グラム陰性桿菌とざっくり切っても、翌日培養で確認すると培地上のコロニーが全く違うので、グラム染色所見より明確に菌種推定ができます。


2 細菌性腸炎患者の糞便グラム染色所見
グラム陰性桿菌ばかりで、らせん桿菌(Campylobacter)も無いし、これだけではわからないかな。

3 DHL寒天培地上のコロニー。

これだけハッキリしていれば十分に菌種推定が可能ですね。

7 緑膿菌とKlebsiellaの違いを言葉にするとこうなります。

当日は会場からグラム陰性桿菌で菌が細い場合には腸内細菌群は除外しても良いのでは無いか?という高度なコメントも頂きました。

2017gp1緑膿菌とKlebsiellaもグラム染色所見ではよく見れば違いが分かるのですが、分からなくても翌日検査室に行けば菌の色や形は大きくちがいます。

緑膿菌には抗緑膿菌作用の抗菌薬が必要ですが、Klebsiellaには必要がありません。抗緑膿菌作用を狭めるだけでも抗菌薬の絞込ができていることになります。

コロニーの見方は教科書的には色々あり、臭いや色、光沢、粘り気なども参考になります。
1 培地や培養の条件にも左右されますね。

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また、グラム染色の大きなメリットは複数菌でも同時に検出可能なことと、それが感染巣から出てきているかどうかの確認も可能なところです。肺炎球菌は尿中抗原でも検出可能ですが、M. catarrhalisは不可能で、尿中抗原のみ陽性でペニシリンだけを使うと失敗するので、グラム染色所見を同時に考えて抗菌薬を選択することが必要です。

5 翌日培養ではこんなに違います。

6 肺炎球菌は自己融解を起こします。

培養の欠点をグラム染色で補えますし、グラム染色の欠点を培養で補うこともできます。
ここに身体所見と画像所見、総合的に捉える診察スキルが加わると巨大なパワーが得られるのは間違えないですね。

医師の皆さんは検査室から診療のコツを教えてもらう機会があると思ってもこなかったと思いますが、検査室には色々と情報があります。気になれば検査室に顔を出してみては如何ですか。

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2017年7月 7日 (金)

【ご案内】第28回神戸グラム染色カンファレンス開催 7/13

 神戸では年に3回のペースでグラム染色をテーマに感染症診断・治療に関するカンファレンスを開催しています。グラム染色から切り込んで得られる情報をもとに感染症診療をどう進めていくのか、医師、臨床検査技師、薬剤師のそれぞれの立場から学んでいく会です。参加者はテーブルディスカッションを通して活発に討議を行う新しいタイプのカンファレンスです。お時間のある方はご参加宜しくお願いします。

日時:平成29年7月13日(木) 18:50~21:00頃

場所:三宮研修センター(神戸市中央区八幡通4-2-12)

参加費:500円
一般演題
1.「肺気腫の既往のある80歳男性の肺炎」
明石医療センター総合内科 水木真平先生、検査科 森下絵梨先生
2.「人を惑わせる宝石」
大阪急性期・総合医療センター総合内科 中島隆弘先生
(追加発言)
神戸市立西神戸医療センター臨床検査技術部 山本剛先生
どんな症例が出てくるんでしょうかね。非常に楽しみです。
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2017年7月 1日 (土)

沖縄県臨床微生物研究会にお邪魔しました

先週の土曜日(24日)に沖縄県で講演する機会を頂き行って参りました。

人生2回目の沖縄でちょっぴりレジャー気分。
沖縄は神戸から飛行機で1本。最近はLCC路線が繋がり安くて6000円程度で行けます。なんとリーズナブルな時代なんでしょう。

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神戸は20℃前後、しかし那覇は35℃近く。梅雨明けでもう真夏でした。

沖縄で時間ができたので、何かしておきたいと思い「沖縄そば打ち体験」をしました。
読谷村のバアバに怒られつつようやくできた沖縄そば。太麺で頂きました。

お昼を済ませ会場に行き講演開始です。

いつもは20~30人程度の研究会ですが、60名を超える方に来ていただきました。
臨床検査技師以外にも医師や研修医、看護師、薬剤師と多職種の方が来ていたそうです。

1498558003163 会場は熱気むんむん。


グラム染色の聖地ですので生半可なことを言えませんので教科書には書いてないこと、授業では習う機会の無かった内容を中心に話しました。

グラム染色には限界があり、染まらない菌、染まっても細胞の区別は分離困難であることについて話しました。

16 マイコプラズマは細胞壁が無いので染まりません。


しかし、何もなければマイコプラズマも鑑別すべき微生物の一つになります。

教科書に書いていない内容では、毎回させて頂いている喀痰の成因と喀痰グラム染色の対比の話をしましたが、染色像のバックグラウンドをもとに起炎菌を推定していく話をしました。

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時間が無かったのですが、尿と膿についても少し加えました。ちょっと前に大阪でしたものと同じです。

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膿尿に始まり、膿尿に終わる尿路感染症のグラム染色。

膿尿にも奥深い意味が隠されています。少しだけ紹介しました。

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膿は全ての菌が培養でフォローできている訳では無いのでどういった菌がどの程度いるのか確認をすることが大切である。脳膿瘍についてはどういう菌が見えているかで成因が変わるので、感染源を特定する上でグラム染色は有用ですという話をしました。

最後は心構えです。見る前にしっておくとより理解が深まります。

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夜は懇親会をして頂きました。

沖縄の熱い、暑い夜は非常に楽しかったです。
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翌日は沖縄のナイス・ガイ2人に美ら海水族館まで連れて行ってもらいました。感激。
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念願のサニーゴもゲットです。

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本当に沖縄の方々にはお世話になりました。お話できてないことは沢山ありますが、患者さんを中心にしてグラム染色像の確認を続けていってもらい、「ん?これいつもと違うな。」という感覚があれば、是非主治医とディスカッションをしてください。色々なものが見えてくると思います。

また話する機会があれば宜しくお願いします。

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2017年6月 9日 (金)

今後の予定 2017年6月以降

定期的に今後の予定についてお知らせしています。

ご興味のある方は聞きに来てください。
1.大阪府臨床検査技師会 微生物検査部門定期講習会
http://www.osaka-amt.or.jp/cgi-bin/sche/sche35.cgi?cm=1
日時:2017年6月22日(木) 18:30~20:00
場所;大阪医療技術学園専門学校
テーマ:「ケーススタディー方式で学ぶグラム染色の見方・考え方」~尿とか膿汁とか~
備考:去年の喀痰の続きです。
2.第194回沖縄臨床微生物研究会
日時:2017年6月24日(土) 16:00~18:00
場所:那覇市立病院 3階講堂
テーマ:「明日の診療から使えるグラム染色読解術~もう菌(あなた)はチェックメイトされています~」
備考:どうして、その菌と言い切れるのか?病態を含めて理詰めでグラム染色像の読解術について紹介します。
3.第1回 耳原総合病院 GP+1セミナー(医師対象)
日時:2017年7月30日(日) 10:00~16:30
場所;耳原総合病院
4.第24回日本臨床微生物学会教育セミナー(募集は終了しています)
日時:2017年8月19日(土)~20日(日)
場所:神戸市立医療センター中央市民病院講堂
5.EBICセミナー in 神戸
http://www.ebic.jp/news/2017se2-in-kobe-2.html
日時:2017年9月2日(土)
場所:神戸大学医学部シスメックス会館
備考:毎年恒例のCLSIの話+岩田先生の講義 私はグラム染色の話。
7.その他
東北地区の研究会(9月予定)
中部地区の研修会(11月予定)
毎年恒例のグラム染色カンファレンス(第29回日本臨床微生物学会に併せて;場所は名古屋駅前)

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2017年6月 7日 (水)

【速報】「第1回薬剤耐性(AMR)対策普及啓発活動表彰」における 優良事例の表彰決定!

「第1回薬剤耐性(AMR)対策普及啓発活動表彰」における 優良事例の表彰決定しました。

http://www.cas.go.jp/jp/houdou/170607-1amr.html

M医院のM先生が、グラム染色を用いた診療支援について厚生労働大臣賞を受けることになりました。おめでとうございます。M先生とはこのブログがきっかけで知り合うことができました。グラム染色道場バンザイ。

M先生は日常診療の中でグラム染色を診療の第一線で使用し、診療内容と治療、患者への情報提供を行い、服薬指導に活かされています。

Photo_2 去年のテレビ番組より

グラム染色がAMR活動に無くてはならないものであることが証明されたと思います。
画期的な検査技術でもありませんし、高い検査機器も必要ありません。保険点数は61点。
Photo_5 10分程度で行える簡単な検査です。

Photo_4 色を青と赤に染め分けて菌種推定をします。

少し判読の技術が必要ですが、どこでも簡単にできて、菌と炎症所見が同時にわかる検査です。臨床検査の多くが菌のみを検出する仕事が多いのですが、グラム染色は炎症所見も読み取れることが大きなメリットです。細菌感染が起これば病巣に多核白血球が集まります。白血球と一緒に見える菌が起炎菌である可能性があります。

400 尿路感染症を起こしている大腸菌。

本当に最近、テレビでグラム染色を見る機会が増えました。たまに某放送局の総合内科をテーマにしたテレビ番組にもお手伝いする機会が増えましたし、動物愛好家の情報雑誌にも取り上げて頂きました。

Photo_6 某テレビ番組

18194760_1319115088169696_2166647_2 某情報誌

本当に、日常コツコツと行っている仕事について表彰を受けるというのはモチベーション上がりますね。明日からも頑張っていきたいです。

本当にブログ続けてて良かったと思います。グラム染色バンザイ。

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