2017年1月14日 (土)

来週は臨床微生物学会総会・学術集会(長崎)

来週の20日から長崎で第28回臨床微生物学会総会・学術集会が開催されます。

当日は色々と勉強したいと思いますので楽しみにしております。
個人的にも少しお手伝いをさせて頂きますが、昨年好評でした企画(医師を震撼させた微生物検査企画)を今年もする予定です。
今回は会長企画3として3日目に開催をします。
今回は聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院と神戸大学病院の先生にプレゼンターをお願いしております。演者とフロアで一体感のある内容にしたいのですので宜しくお願いします。
「主治医を感激させた微生物検査―検査技師の知識・経験と第六感―」part2
1 月 22 日(日) 10:00~12:00
第 1 会場(長崎ブリックホール 2F 大ホール)
座長:佐々木雅一(東邦大学医療センター大森病院)
山本 剛(西神戸医療センター臨床検査技術部)
1.グラム染色が診断の鍵となったある感染症の 1 例
―インフルエンザ発症から入浴中に溺水した意識障害の患者―
若竹 春明,田中 洋輔
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院
2.四肢に多発する有痛性紅斑を主訴に受診したステロイド内服中の 70 歳代男性の一例
西村 翔,楠木 まり
神戸大学医学部附属病院
最終日ですので、もし時間があれば参加してください。

初日の夜はグラム染色カンファレンスが開催されます。これもまた学会とは違う楽しみの一つでしょう。楽しみです。
https://beginnersinfectionconference.wordpress.com/2016/12/12/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%A0%E6%9F%93%E8%89%B2%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B9%E9%96%8B%E5%82%AC%E6%A1%88%E5%86%85/
写真は硝子体液で確認ができた肺炎球菌です。こういう緊急度の高い疾患では培養が待てない分、このようなグラム染色像が確認できればラッキーですね。
迅速性があり、安価で感度や特異度は良くないですが、多様性を秘めた検査ですので積極的に診断検査に取り込みたいですね。周囲には多核白血球もあり炎症巣からの検出が推定されますので、コンタミネーションとの区別も可能です。

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2017年1月 3日 (火)

明けましておめでとうございます

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

これはfacebookの焼き直しなのでご了承ください。

病院勤務の場合には、年末年始が唯一長期休暇を頂ける機会になります。そうは言っても患者には休日は無く、病院は当番制で診療を続けることになります。

検査室は日中も夜間休日体制となり、微生物検査が出せない施設も多いと思いますが、最近では土日祝日全て対応できる微生物検査室も増えてきましたが十分な体制が取れる状況ではありません。

グラム染色は検体管理加算の関係で昼夜を問わず出来る体制作りしなければなりません。きっと皆さんの病院も加算を申請している場合は救急部門でグラム染色が出来るようになっていると思います。

とは言っても微生物検査室が稼働していない場合は培養ができないので感染症診療においては不安材料が残ると思います。

特に肺炎については肺炎の機序や起炎菌も1患者毎に異なり、選択される抗生剤もその都度細かく検討しなければ良い診療を続けることができません。グラム染色はその不安を少しでも取り除くための大きなアイテムになるに違いありません。

年末年始のみならず1年365日グラム染色による感染症の初期診療を上手に行えるような診療体制を何処の施設でもできれば良いと思います。

今年も感染症ブログ:グラム染色道場とFBページ:グラム染色道場を宜しくお願いします。

写真はNHCAPの一例です。

Photo ☓100

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グラム染色解釈は以下のとおりです。
・多核白血球が優位に出現し、扁平上皮は少ない。
・グラム陽性菌から陰性菌まで多彩であり、それぞれの貪食像がある。
・確認できる菌のうちグラム陰性桿菌の菌量が多く、グラム陰性桿菌は大型でクレブシエラ、グラム陰性球桿菌はアシネトバクターを違う。

上記より、誤嚥がベースでありグラム陰性桿菌を十分カバーし得る抗生剤で、アシネトバクター属もカバー可能な抗生剤選択が妥当である。必要であれば嫌気性菌カバーも検討する。

患者は誤嚥性肺炎が重症化し呼吸状態が悪くなっています。
肺炎を疑い抗生剤の投与が開始します。さて、どの抗生剤を選択すれば良いのか?本当に悩みます。

グラム染色を見ると少しは起炎菌を絞ることができ、それに応じた抗生剤選択を検討する機会が持てます。胸部X線像では起炎菌は絞れません。やっぱり肺炎で喀痰が出る場合は積極的にグラム染色をしましょう。

今年も初染めをしました。1年間頑張っていきましょう。

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2016年12月13日 (火)

グラム染色カンファレンス in 長崎 告知

毎年というか、次回で第4回になりますがグラム染色カンファレンスを開催します。昔はオフ会と称してグラム染色大好き人間が集まっていましたが、昨年は仙台で開催し100名を超える人が参加してくれました。

また、耐性菌の世界的権威のNordman先生も参加してくれて大盛り上がりでした。
今年も色々な方の支援もあり長崎の微生物学会に合わせて開催することになりました。
既に募集は始まり、数日で定員の半数が埋まるほどの盛況ぶりです。
学会に参加するけど夜は時間を持て余している人とか、グラム染色について挑戦したいと言う人がいらっしゃいましたら、ご応募お待ちしております。
一応、今回もプレゼンターをさせて頂きますが今年はどういう問題にしようか楽しみに選びたいと思います。
参加される方は宜しくお願いします。
昨年は肺炎球菌性胆管炎を出しましたところ6人の正解者がありました。
優勝は神戸大学病院検査部の大沼先生でした。
今年は誰が優勝するでしょうかね?
Cimg0143 カンファレンスの風景

・日 時:2017年1月20日(金)19:00~21:00 (受付開始18:30~ )

・場 所:Bg-Cafe(長崎電鉄 思案橋駅徒歩1分)

・参加料:5,000円(飲食代込み)

・募集人数:70名(スタッフ込)

・症例提示

1 貴女の瞳に恋してる♡
日本医科大学付属病院・鷲尾洋平/根井貴仁

2 タイトル未定
湘南鎌倉総合病院 後藤 未来/佐藤 守彦

3 タイトル未定
西神戸医療センター 臨床検査技術部 山本 剛

申込みは下記のサイトから受け付けています。

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2016年12月 6日 (火)

中四国学会終わりました

先日、平成28年度日臨技中四国支部学会でお話する機会を頂きました。

高知は1年ぶり。前回は院内感染対策の話をさせて頂いたので、グラム染色の話をするのは久しぶりです。また、中四国支部では先月の始めに研修会をしたこともあり、グラム染色の話は沢山させて頂きました。
今回はダイジェストで中四国支部学会の内容をご紹介します。
古くて新しい検査として注目度の高いグラム染色は不適切な抗菌薬使用を出来る限り少なくしようという人は欠かすことのできない検査と思います。もうグラム染色無しでは怖くて抗菌薬を選べないという人も多いと思います。しかし、グラム染色なんて感度が鈍いし、感受性はわからないし、そもそも菌種推定なんかできやしないしと考えている人もあるかもしれませんが、髄膜炎の場合は感度がどうあればグラム染色所見は重宝する検査の一つです。


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このブログを始めたころは菌種推定なんかは危険だからしない方が良いという人も居ましたが、今はそういう時代ではありません。数々の迅速検査が出てきましたが、まだピンポイントに抗原が当たらないと検出できないものが多いのですが、グラム染色はそうではありません。抗原、つまり菌種が複数でも一度に確認ができるので、混合感染の場合は有用なことがあります。

また、白血球や滲出液の確認を通じて病態との繋ぎ合わせも出来るので、出てきた菌の臨床的意義について考えることができるのです。
一般的に細菌検査報告書は文字や数値の羅列が多く、書いていることを深読みしない限り内容が十分把握できません。いわば、「萌えない」のである。
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前述したようにグラム染色所見は菌と白血球、滲出液、細胞を通じてスライドガラス表面で病態を表現しいるので、顕微鏡越しに患者さんと会話をすることができます。これが「萌える」検査です。萌える報告書は内容を詳しく書いた方が良いですが、今の検査システムのインフラの影響も大きくそういうスペースは全くないのが現状です。なのでカルテに書くしかありません。カルテに書く場合は複数人が閲覧することもあり恥ずかしい文章は書けないし、皆が分かるような内容で無いといけません。報告書の例は以下の通りですが、書かなくても医師からグラム染色所見の問い合わせを貰った場合には少し病態と合わせて丁寧に話をすることが必要です。

1 染色所見
3喀痰で肺炎球菌が確認された場合の報告例

肺炎の場合は胸部X線を撮影し診療情報としますが、部位の特定はできるが菌種の推定は困難です。また、グラム染色は菌種推定はできますが、部位の特定は困難です。要は胸部X線所見とグラム染色所見の融合を図れば良いのですが、微生物検査技師には胸部X線所見の読影は困難なことがあります。では、病態との繋ぎ合わせができないのか? ではなく、繋げてあげれば良いわけです。

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例えば、肺炎の起炎菌は感染する細胞が異なります。そのため大葉性肺炎や気管支肺炎といった肺炎のパターンが異なります。大葉性肺炎は肺胞腔内に感染を起こし細胞の障害度が強く、フィブリンが多量に産生します。そのため、喀痰グラム染色所見は赤みが強いものが増えます。赤みが強い場合は組織の障害度との関連性があり、大葉性肺炎以外でも組織破壊が強い壊死性肺炎(黄色ブドウ球菌の気管支肺炎に続発します)、緑膿菌肺炎、肺結核、肺真菌症なども同様の赤みが見えますので、見えるだろう菌種を予め想定しながら見ていくことができます。肺真菌症や肺結核では菌があまり見えませんので、主に赤い場合は肺炎球菌か黄色ブドウ球菌、緑膿菌を中心に見ていくことになります。緑膿菌については市中肺炎は少ないので患者背景を絞り込むことで更に絞り込むことが可能です。

一方、気管支は分厚い臓器なのでそうそう組織障害はなく、ムコ多糖類と白血球中心の喀痰となるので膿性痰の割にはグラム染色所見の背景は桃色でスリガラス状に見えてくることが多いです。この場合はインフルエンザ菌を探します。マイコプラズマ肺炎も気管支肺炎ですが、菌は染まらないので確認は出来ません。逆に言えば菌が見えない気管支肺炎はマイコプラズマ肺炎を疑えるのかもしれません。
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出来ないのであれば可能にする。診断に近い有用な情報提供を心掛ける。
特に、グラム染色所見の解釈は難解です。毎日見ている検査室はその解釈を診断に繋げる必要があります。
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今後、微生物検査も自動化が進みますので時間に余裕ができると思います。
グラム染色の鏡検時間を多くしていきプライマリーケアの充実に寄与したいところですね。
時代を切り開いてくれたこの方々のようにこれから考えていきたいです。

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2016年11月29日 (火)

Escherichia albertiiはどうしましょうかね

Escherichia albertiiに係る報告についてという事務連絡が厚労省からきておりますが。病院検査室でどうすれば良いの考えないといけませんね。

http://www.toyama.med.or.jp/…/uplo…/2016/11/2016chi3_178.pdf

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Escherichia albertiiについて未だ知らない人はここを読んでください。
IASR2012年 5月号 http://www.nih.go.jp/…/ja/ecol…/ecoli-iasrd/2030-kj3872.html
最初の報告例 バングラディシュ人の下痢便から出た報告ですhttps://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12807204

ってか、どうすんねんって思う。うちではvero毒素をPCRでしているので引っかかるかもしれないけれど。殆どの病院検査室では対応が無理でしょうね。もう少し実情にあった事務連絡が欲しいと思います。

理由は以下の通り

1)eae陽性、非運動性、乳糖非発酵、硫化水素非産生
→eae遺伝子はハッキリいって無理。運動性と乳糖分解性、硫化水素の産生性についてはTSIとSIMでも鑑別可能。 ここは分けて欲しい。

eae遺伝子については下記の文献があります。

熊本の磯崎先生がまとめています。
http://www.jscm.org/journal/full/02601/026010024.pdf

大阪公衛研の小林先生がまとめています。
http://journal.kansensho.or.jp/Disp?pdf=0760110911.pdf

2)stx2f産生
→無理でしょうね。そもそもイムノクロマトグラフィー法による検出はできないVT2のvariantですからね。stx2fは血便も出ないし、下痢のみの症状が多いものですので、通常のstx2と同じにしてもらっては困る。

http://www.pref.fukuoka.lg.jp/…/l…/212496_51821171_misc.pdf…'

3)Shigella boydii血清型13
→そもそもS. boydiiがでてきたら、異常でしょうね。Shigellaの中でも検出頻度が非常に低いし、S. sonneiのように国内感染事例はそうそうありませんからね。渡航歴をしっかり聞くのが大事ですね。
しかし、同定機器も質量分析も赤痢菌と大腸菌の区別が困難なので注意も必要でしょうね。
http://www.nih.go.jp/niid/images/lab-manual/shigella.pdf…'


4)Hafnia alveiって何か?
→ラボでもたまに見かけるやつですね。下痢を起こす菌を今回対象にしているのですが、H. alvei疑いのものを検出するプロセスは無いですね。便から出たGNR全てを同定すると検査室はパンクしますね。コロニーは少し毛羽立っているので大腸菌とは違うな?って勘は働きそうですね。肺炎、UTIや腹腔内感染や血液培養陽性で見るのが多いので下痢をどこまで拾うかは非現実的ですね。


Hafniaalvei_001_f21_gal_ba_488_f800 下記URLより拝借
http://microbe-canvas.com/Bacteria/gram-negative-rods/facultative-anaerobic-3/catalase-positive-3/oxidase-negative/colistin-susceptible-1/hafnia-alvei.html


http://cid.oxfordjournals.org/content/22/6/1040.full.pdf…'

といいつつ要チェックしておかないと病院検査室の設置している意味が薄れますね。

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