2016年11月29日 (火)

Escherichia albertiiはどうしましょうかね

Escherichia albertiiに係る報告についてという事務連絡が厚労省からきておりますが。病院検査室でどうすれば良いの考えないといけませんね。

http://www.toyama.med.or.jp/…/uplo…/2016/11/2016chi3_178.pdf

E_arb1

Escherichia albertiiについて未だ知らない人はここを読んでください。
IASR2012年 5月号 http://www.nih.go.jp/…/ja/ecol…/ecoli-iasrd/2030-kj3872.html
最初の報告例 バングラディシュ人の下痢便から出た報告ですhttps://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12807204

ってか、どうすんねんって思う。うちではvero毒素をPCRでしているので引っかかるかもしれないけれど。殆どの病院検査室では対応が無理でしょうね。もう少し実情にあった事務連絡が欲しいと思います。

理由は以下の通り

1)eae陽性、非運動性、乳糖非発酵、硫化水素非産生
→eae遺伝子はハッキリいって無理。運動性と乳糖分解性、硫化水素の産生性についてはTSIとSIMでも鑑別可能。 ここは分けて欲しい。

eae遺伝子については下記の文献があります。

熊本の磯崎先生がまとめています。
http://www.jscm.org/journal/full/02601/026010024.pdf

大阪公衛研の小林先生がまとめています。
http://journal.kansensho.or.jp/Disp?pdf=0760110911.pdf

2)stx2f産生
→無理でしょうね。そもそもイムノクロマトグラフィー法による検出はできないVT2のvariantですからね。stx2fは血便も出ないし、下痢のみの症状が多いものですので、通常のstx2と同じにしてもらっては困る。

http://www.pref.fukuoka.lg.jp/…/l…/212496_51821171_misc.pdf…'

3)Shigella boydii血清型13
→そもそもS. boydiiがでてきたら、異常でしょうね。Shigellaの中でも検出頻度が非常に低いし、S. sonneiのように国内感染事例はそうそうありませんからね。渡航歴をしっかり聞くのが大事ですね。
しかし、同定機器も質量分析も赤痢菌と大腸菌の区別が困難なので注意も必要でしょうね。
http://www.nih.go.jp/niid/images/lab-manual/shigella.pdf…'


4)Hafnia alveiって何か?
→ラボでもたまに見かけるやつですね。下痢を起こす菌を今回対象にしているのですが、H. alvei疑いのものを検出するプロセスは無いですね。便から出たGNR全てを同定すると検査室はパンクしますね。コロニーは少し毛羽立っているので大腸菌とは違うな?って勘は働きそうですね。肺炎、UTIや腹腔内感染や血液培養陽性で見るのが多いので下痢をどこまで拾うかは非現実的ですね。


Hafniaalvei_001_f21_gal_ba_488_f800 下記URLより拝借
http://microbe-canvas.com/Bacteria/gram-negative-rods/facultative-anaerobic-3/catalase-positive-3/oxidase-negative/colistin-susceptible-1/hafnia-alvei.html


http://cid.oxfordjournals.org/content/22/6/1040.full.pdf…'

といいつつ要チェックしておかないと病院検査室の設置している意味が薄れますね。

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2016年11月22日 (火)

ASPと微生物検査

久々に投稿します。

今週末は日本感染症学会中日本・西日本、日本化学療法学会西日本の合同学会に参加をします。
シンポジウムでASPについて少し話する機会を頂きました。
AMRアクションプランの話題が絶えませんが、微生物検査技師の業務の中でASPについて何をするのか明確に記載がありません。

MALDI-TOF MSを使い菌の報告を早くすることは良いとは書いていますが推奨度が低い内容です。果たして早く結果報告をするのは推奨度が低い内容でしょうか?そういう内容について、検査室目線で触れようと思います。

また、報告書に書いている菌名と感受性だけでは抗菌薬の選択と投与期間の設定には不十分なことがあります。こういう莢膜過剰産生のKlebsiellaの場合はそういう可能性を秘めています。当院ではこういう菌を見つけた場合は莢膜過剰産生菌(疑)としてコメントを付記し、必要に応じてmagAなどの検索をしています。

日本は米国と医療体制は異なります。
日本には 現場と抗生剤、そして検査室の3点が日本の感染症診療には必要と思います。

http://www.okinawa-congre.co.jp/wm-jcid2016/

2_2 血液培養液のグラム染色像

2_3 喀痰グラム染色像

Kleb ネバネバKlebsiella 勿論ストリングテスト陽性

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2016年10月19日 (水)

第26回神戸グラム染色カンファレンスのご案内

神戸では毎年3回でグラム染色に特化したカンファレンスを開催しています。

グラム染色は迅速で安価で感染症診療には有用性が高いよっていう話をチラホラ聞くことができますが、実際結果をどのように報告するのか、グラム染色をどう読むのか、抗生剤選択時に何を注意するのかなど具体的な話がまとまらないことがあると思います。

このカンファレンスでは主に微生物検査技師だけでは無く、医師、研修医、学生、薬剤師と看護師が混じって結果についてどう考えていくかグループディスカッション方式で進めていく、コアな感染症の勉強会です。

ご興味のある方は参加して、そのリアルさを体感してください。

今回はどういう症例が飛び出てくるのでしょうかね。楽しみです。

まるでレアポケモンが出た時のように、毎回名物となったプレゼン用のパワーポイントに詰め寄る場面もあり。

Photo 前回発表して頂いた兵庫県立こども病院の方々

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第26回グラム染色カンファレンスのご案内

今回下記の内容にて第26回グラム染色カンファレンスを開催予定です。

この会は日常的に感染症診療の一環で行われている『グラム染色』から得られる感染症情報を活用し、どの様に感染症診療へ切り込んでいくのか、医師・臨床検査技師、薬剤師、それぞれの立場から考え、活発なディスカッションを行うという新しいスタイルの会であります。お忙しいとは興味のある方は出席ください。

日 時 ; 平成28年10月27日(木) 18:50~
場 所 ; 三宮研修センター 5階 505号室
参加費 ; ¥500

司会;
兵庫県立尼崎総合医療センターER総合診療科 山本修平 先生
住友病院臨床検査技術科 幸福知己 先生

発表(予定)
① 「こりゃ~びっくりするくらいいるなぁ!」
担当:神戸大学医学部附属病院
   感染症内科 海老澤 馨 先生
   検査部 大沼 健一郎 先生

② 「70才、排液増量」
担当:西神戸医療センター
   臨床検査技術部 山本 剛 先生

http://www.f-road.co.jp/kenshu/

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この場をお借りして今後の予定

①2016年10月29日(土)

奈良県臨床検査技師会 14:00から17:00

場所;奈良県立医大

テーマ;グラム染色講習会 講義など

http://naraamt.or.jp/Kaiin/News/news201610.html

②2016年11月5、6日(土日)

日臨技中四国地区研修会 

場所;島根県立中央病院

テーマ:呼吸器材料グラム染色所見のポイント

https://www.jamt.or.jp/studysession/area/branch/chusikoku/


③2016年11月26日(日)

日臨技中四国支部学会

場所:高知市文化プラザかるぽーと他

http://www.e-g.co.jp/jamt49chushi/


④2016年12月23日(祝日)

ONCR 4th

場所;東京都のどこか

また告知します。

⑤2017年2月16日(木)

香川県臨床微生物研究会

場所;高松市のどこか

また告知します。

宜しければ足を運んでください。

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2016年10月12日 (水)

質量分析 ゲットだぜ!?

更新が遅くなりすません。色々と忙しくて後回しになっています。

さて、この時期は次年度の予算要求を行っていく施設が多いと思います。やはり微生物検査室の目玉は「質量分析機器」ではないでしょうか。

オーバーナイトでしか菌種同定できなかったのに、数分で終わってしまうという、寝台特急でしか行けない場所をリニアモーターカーで行くような、まさに夢のような機械なので欲しいと思っている施設は多いと思います。質量分析機器については、販売メーカーさんのPRや各種学会、勉強会でも質量分析機器の有用性について話を聞く機会が多いと思いますが、有用なのは十分理解していると思います。

じゃ、購入してランニングすると患者に大きなメリットがあると思い、買ってやろうという人が現れるのを待つのですが、現実はそう甘くありません。なんせ「高い」。マンションが1件買えるほど。ランニングコストが大幅下がるのでという売り込みも無用と思われるほど高額です。そのため、市中病院の予算内で購入しようと思うとかなりハードルが高くなります。恐らく市中病院の機器購入のための予算は大学病院検査部の機器予算と同じくらいですしね。病院の建て替えや巨大な力が動かない限りそんなにポンポンと買うことはできないでしょうね。

質量分析機器をどのようにすると買ってくれるのか?少し考えたいと思います。

1.ランニングコストが下がることの魅力をアピールする

確かに異常なくらいコストダウンが図れるのは確かである。
同定キットやパネルを使うと1回分は2000円ほどかかるとして、質量分析機器では100円程度。単純計算で1900円/1菌種のコスト削減が可能です。

例えば、検査依頼が1ヶ月1000件、感受性率が30%として。1ヶ月57万円、年間684万円の削減になります。感受性を別途行うランニングコストが1000円として1ヶ月27万円、1年間324万円になります。年間324万円貯金して9年程度で完済できます。

しかし、ランニングコストが下がるとは言うが、そんな高い買い物は直ぐにできる訳ではありません。例えばプリウスは少し高いけどガソリン代が浮くから買いに行こうって言っても、見積もりを見ると、買えないよねってなりますよね。しかし、ランニングコストが下がるのはアピールポイントの一つです。

2_2 プリウスも車体が安くなれば良いですけどね。

この場合に必要な知識としては、年間の件数や今後の見通し、物品の購入代金などを元々管理しておくと良いと思います。いつまでも物品担当部門に任せっ切りではいけません。

2.維持費の計算

・電気代は恐らく1件あたり30-50円。
・消耗品費は上記参照。ここに質量分析の試薬代と消耗品費が加わります。
・保守点検料は保守を結ぶかどうかで異なる。
 特に保守を結んだ場合のメリットと結んでない場合のデメリットはしっかりと記載する必要があります。

 保守を結んだ場合:安心して使える。保守の範囲内での故障が無料で受けれる。ただし保守範囲外の場合は有償。

 保守を結んでない場合:壊れなければラッキー。お金がかかりません。しかし壊れるとかなり高額な請求がかかります。技術料や出張料に加えて高額な部品代。まさに高い技術の裏には高い人件費と材料があります。
 
 日本に導入されて、まだ時間が経っていないので故障リストは殆どありません。故障しない機械に高額な保守費用を投じることになると言われかねません。この辺はメーカーとの交渉でしょう。

保守料が200万円とすると324万円から200万円引くので、残った貯金が124万円になります。

さらにレーザーを5000万ショット撃つと交換が必要です。窒素レーザーの交換費用はかなり高額ですが、窒素レーザー自体は簡単なものですので意外に安いようです。何が高いんでしょうかね。

3.アウトカムの計算

一番問題なのは、導入にあたり新規で保険点数が付かないこと。
通常、新規で購入する機器の場合は要求時に増収見込みがどの程度あるのかアピールタイムがありますが、これは全く期待できません。もともと、培養・同定で保険点数が付いており、同定まで進まなくても収入があります。そのため、同定のみで保険点数を計算して、収入について検討しようとしても無理が生じます。つまり使用頻度に応じた計算(前述)が必要になります。

1_2 自動機器のランニングコストは意外に高い

なのでここでバックアップデータとして必要なのは入院期間の短縮や抗生剤の処方量削減、死亡率低下などなど。

下記の文献によると、

・入院期間は23.3±21.6日(導入前)→15.3±17.3日(導入後)
・30日後の死亡率(菌血症?)は21%(導入前)→8.9%(導入後)
・医療コストは7.8万ドル(導入前)→5.2万ドル(導入後)
と削減が可能だそうです。ただし外国のデータです。

では、日本のデータはどうか? 探した限りではありません。
導入したので、どうでしょうか?というデータは多いのですが、今後先駆者たちから出てくることを願います。

先駆者? そうです。当院には残念ながらありません。市中病院ですので、そんなお金は準備しようにも院内の優先順位はまだまだ上位機種ではありません。そりゃ、CTやMRI、内視鏡を新規で購入する方が利用頻度も高いし、増収見込みも上がるのでガチで戦っても勝ち目がありません。

先日、mecA遺伝子導入によるコスト削減を検討していますが、質量分析機器の大きなメリットはグラム陰性桿菌の種類が直ぐにわかることです。グラム陰性桿菌は菌種により自然耐性を持つので菌種同定が早くなるだけでもメリットは大きいと思います。
ただし、重症患者や発熱性好中球減少症患者においては既に耐性菌のことを考慮して抗生剤が選択されていることもあり、大きなアウトカムが変わることは無いと思います。
どちらにしても報告を早くすることに加えて介入をすることが大きなメリットとなるでしょう。

4.どうしたら買えるか?

関西人である私は私生活において根切り交渉をしてきましたが、この機器は値引きが見込めません。だったらどうしようか?

3 関西人は全て値切る訳ではないそうです


個人的に宝くじが当たれば即購入ですがそうは行きませんね。

感染症に造詣のある医師を確保するのが良いかと思いますが、日本に感染症医は1500人程度。全ての病院には常駐していません。感染防止対策の一貫として周囲の方々に協力してもらいながら導入までこじつけるしかありません。なので、感染症に興味のある医師を捕まえて離さないことが良いでしょう。

感染症に興味のある医師を確保することが必要ですが、医学生のうち感染症に興味がある生徒は1クラスに1人程度。全員が嫌いな学年もあると思います。
しかしどうして興味を持たないんですかね?不思議ですね。

しかし、感染症は日常的に遭遇しやすい疾患の一つです。しかも生活習慣病と異なり、適切に治療することで治る。適切に治療するにあたり微生物検査のデータは不可欠で、それをいかに早く適切にどう治療に絡めるのか考えることが大切です。

上記のデータで菌血症の死亡率(導入前)が20%とあるが、厳しいことを言うが単純に高すぎると思います。20%というデータすら取っていないところは質量分析機器への道は更に険しいものになると思うので、しっかりとクリニカルインディケーターをラボでも取ってアピールすることが重要かと思います。微生物検査に携わっている方たちはそのエビデンスを作っているので、そこに貢献すべきでは無いかと思いますがどうでしょうか?

そういっていますが、ここ数年予算申請をしていますが、うちにも入るでしょうかね。予算要求の回答が出る頃はもう少し先です。果報は寝て待て。

コスト計算やアウトカムの検討をしっかりと行い、質量分析機器をゲットしていきましょう。
ようやくポケモンもLv23になりました。20を超えてからは中々レベルアップするのに苦慮しています。皆さんのポケモンはどうですか?Lv50になって、ポケスポットをくるくるすると質量分析機器をくれないでしょうかねえ(笑)。

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2016年9月22日 (木)

菌の擬食化

皆様、更新が遅くなりましてすいません。

別にサボっていた訳ではありませんが、ブログを書く時間が少し無かっただけです。
簡単な呟きであればFACEBOOK版がありますのでまた機会があれば見てください。
さて、今回はためになるかどうか分からない情報です。

https://www.facebook.com/GramStainGym/

菌の擬人化というものは沢山ありますが、今回はN大のN井先生のご要望もあり、なんと擬人化では無く、菌を擬食化してみました。如何ですか?この芸術作品は。

グラム染色像を相手に伝えるのは難しいですよね。


あ~あの形、こういう形といっても中々伝わらない。何か印象的な形象を伝えたい、そう思ったことはありませんか?

そういうお助けアイテムとして今回は代表的な染色像について食物に例えてみました。
まずはブドウ球菌。よく分離されるものとしてStaphylococcusとMicrococcusがありますが、経験上このような染色像に違いがあります。

何と言っても黄色ブドウ球菌は菌体外毒素やフィブリンの影響もあり菌や菌体周囲が赤く見えるのが特徴的ですね。

また、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)は菌種によって大きさが少し違うのが特徴です。Micrococcusは2つもしくは4つのものが多く見え、菌はStaphylococcusと比べてやや大きめです。

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次に表現しにくいグラム陰性桿菌。N井先生のご要望でソーセージに例えて違いを検討してみました。

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やはり、E. coliやKlebsiellaなど腸内細菌群は直線状に見えることが特徴的ですが、緑膿菌はやや湾曲して見えることがあります。Acinetobacterは球菌状に見えることが多いですが、たまに陰性桿菌として見えます。Klebsiellaはアメリカンドッグのように菌周囲に莢膜があるのが特徴です。Klebsiellaの莢膜過剰産生菌の場合はやや大きめのアメリカンドッグでしょうか。ストリングテスト陽性なのはこの菌かどうかの鑑別の一つですね。

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ブドウ糖非発酵菌ではStenotrphomonas maltophiliaは緑膿菌と少し違い菌が集塊を作ることが少ないように思います。緑膿菌の大きな特徴はバイオフィルム。恐らくバイオフィルムはこのように水(βラクタム薬)を通すことがないのでしょうね。

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最後に防御機構ですが、貪食像はこんな感じでしょうか。美味しそう。

βラクタムはPBPに作用するので菌の中央部から形状変化(バルジ化、もしくはフィブロブラスト化)するのでこんな感じでしょうか。

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こうしてみると何となく身近に思えますね。
しかしバカですね(笑)。

たまにはリラックスして仕事しましょうね。

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