見えると凄い
先日、尿検体で肺炎桿菌が判った例を掲載しました(http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/post-72d9.html)が、今回は血液培養で判るものがありました。肝膿瘍の患者のものです。血液でも莢膜がきれいに見えることもあるのだと考えさせられました。
先日、尿検体で肺炎桿菌が判った例を掲載しました(http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/post-72d9.html)が、今回は血液培養で判るものがありました。肝膿瘍の患者のものです。血液でも莢膜がきれいに見えることもあるのだと考えさせられました。
下記は骨盤内のリンパ節膿瘍が見つかった例ですが、泌尿器がんの術後1ヵ月後の検診時にCTで、骨盤内のリンパ節に低濃度の病変が見つかりました。入院となり、抗生剤の相談があり、泌尿器がんの術後、臓器が骨盤内ということでCMZを選択することとなり、血液培養を実施して開始となりました。翌日プンクの予定を入れたところ、プンク前に血液培養が陽性になり、下記のようなスメアが見れました。プンク後のスメアを至急で見たところ下記のようなスメアです。
判断が難しい・・・。
①連鎖球菌は解かるが腸球菌との鑑別がつかない
②肺炎球菌は否定出来る。
③横隔膜下臓器+泌尿器がん術後なので、やはり腸球菌は外せない。
④見えないが、腸内細菌や嫌気性菌も合併している可能性がある。
VCMを追加するか、ABPCを追加するか・・・迷っているました。
色々と患者サマリーを掘り返している中で、1週間前に抜歯したとの大きな情報。
そのまま、心エコー検査に回しましたが幸い陰性でした。
そうです、α連鎖球菌の膿瘍でした。腸内細菌も陰性になり、ABPC単独に切り替え成功です。
患者相談を受けるときは検出菌によって、聞くことを決めておくのも手ですね。
先日、他院からの転送患者がありました。膝関節術後の感染疑いだそうです。スメアを見たら下記のような少数菌が見えました。すでにLVFXが投与されていたようです。
菌量が少ないため非常に見つかりにくいのですが、見えればある程度培養で発育してきそうです。炎症反応も強く、主治医は黄色ぶどう球菌を想定していましたが、LVFXの投与があったということもあり、外来診察の途中にpuctureしてスメアを見て欲しいと連絡受けました。血清クレアチニン値も2.1で腎機能も少し悪いようです。
グラム陽性球菌が少数。丸みを帯びた菌が確認出来たのでぶどう球菌の可能性が高いと連絡しましたが、CNSやMRSAかの判断はこの情報だけでは難しいことも併せて伝えることになりました。翌日、MRSA用のスクリーニング培地が陽性になり、MRSAの可能性が高いとの報告をしました。
感受性をしたところ、MRSAは確定し、追加した感受性検査ではEM:R、CLDM:Sという結果も加わりました。この結果では満足出来ません。CLDMの感受性結果は保留し、Dテストをしたらきっちり阻害がかかりCLDMはRへ変更することに・・・。
過去に少し調べていた結果と併せて報告になりました。MRSAでEM:R、CLDM:Sの結果のうち10%に誘導耐性が見つかりました。
CLDMをSと返していたら使用されていたかもしれません。結局VCMを上手く使い終了となりました。でもこういったケースはかなり必要でしょうね。
肺炎桿菌の莢膜って、肺炎時の喀痰以外はあまり見られませんよね。
莢膜産生菌ということで、色々と 莢膜=抜けて見える像 を探そうとするのですが、肺炎桿菌の莢膜はどちらかと言うと、菌周囲の赤みを帯びた莢膜が多く観察されます。肺炎球菌の3型のような感じです。
喀痰では見られることが多いのですが、尿ではあまり見られませんよね。なので、莢膜が見れないため肺炎桿菌との鑑別はグラム染色上では判り難いです。KPCが蔓延した場合はどうでしょう?恐ろしい時代が来なければ良いですが。
さて、下記はその莢膜が少し確認された急性腎盂腎炎の尿です。周囲の赤みが判るでしょうか?ちなみに血液培養も陽性になっており、同様か確認しましたが血液培養の中では莢膜の産生能が低い(菌は不要なのか?)ため、見えません。同一かどうかの確認は菌の形を良く見ることが必要ですよね。
先日、グラム染色の自動機器(カラーグラム)を見てきました。http://www.sysmex-biomerieux.jp/servlet/srt/bio/japan/dynPage?doc=JPN_CLN_PRD_G_PRD_CLN_31
当院にも自動染色機器が入っていますが、染色漕を使うものでなく、カローセルを回転させながら染色液を吹き付ける方法です。コンタミネーションの危険性も少ないでしょう。
染色はBM法であり、後染色法は色々拘って代えれるようですよ。詳しくはメーカーさんに聞いて下さい。
さて、染色性はどうなのか?一番気になるところです。既存品と比べてみました。
菌の染まり具合、莢膜やムコイドのような菌の分別上の特徴、材料評価、染色背景などを少し見てみましたが、既存のBM法とは差がありませんでした。
今回の染色機器はチャコール(血液培養の抗菌薬吸着物質)と菌がやや区別しやすくなるようです。確かにチャコールの数は少なくなっています。染色液に工夫をしているそうですが。
まだまだ、製品を見る機会は学会などしかありませんが、百聞は一見にしかずです。時間があれば一度ご覧ください。
IDSAのカテーテル感染に関するガイドラインが改訂されました。
何か詳しくなっていますし、カテーテル感染の指標にはMakiの方法(ロール・プレート法)が標準的な方法として記載されています。(ただし、ロール・プレート法の検出感度は60%との報告があり。)
血液培養も2セットが推奨されており、ラインから採血からの採血も書かれいます。ただし、ラインから菌が陽性になった場合は、起炎菌かどうか判断しにくいという結論なのか、良いのか良いか解からないとお茶を濁しているようです。
標準的には、抗菌薬を採取する前が原則で、抜去ことが出来ない場合も静脈とラインからの採血で判断する方法、カテーテルの挿入期間も短いもの、長いものに関して区別しています。たしかにそうでしょう。
また、介入方法も対象菌が増え、ますます菌同定もそうですが、グラム染色の価値が上がるのでは無いでしょうか?
カテーテル感染を疑い、下記のスメアが見えた場合も違いを求められることは今まで以上に多いと思います。菌の分別は早いに越したことはありません。ただし、自分のレベルに合わせて報告が必要でしょう。
昨月突如として騒動を起こした新型インフルエンザですが、発熱外来への来院者はここ数日ありません。国内初の発生事例を出したこの地において、今は国内発生例が止まっています。海外渡航歴のある方での発生例は県内でもありますが、以外なことに発生例が少ない国からの帰国者がたまに報告あります。海外でのサーベイランスの仕組み、発生数の届出などにも温度差があるようにも捉えることが出来ます。
さて、19日に厚労省より『医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針(改定版)』が出ました。http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/2009/06/0619-01.html
もはや、フェーズ6になった以上海外からの流入は食い止められないとの見解です。今回の改定では、原則として患者(患者と疑われる者を含む。)については、医師の指示等に従い、入院措置ではなく、新たな感染者をできるだけ増やさないよう、外出を自粛し、自宅において療養する。となっています。今後、発熱外来を有する施設というよりは一般医療機関で季節性インフルエンザと同じように診ていくということにあたるのでしょう。
ようやく、普通の診療体制が戻りつつあります。
ところで、公共交通機関でどれくらい新型インフルエンザにかかる危険性があるのでしょう?公表されているデータを下に、少し自分なりに考察しました。
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